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- 推し、燃ゆ
- 価格:1,540円(税込)
第164回芥川龍之介賞、直木三十五賞の選考会が1月20日、築地・新喜楽にて行われ、芥川賞に宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」(文藝秋季号)が、直木賞には西條奈加さん(56)の『心淋し川』(集英社)が選ばれた。宇佐見さん、西條さん共に初の候補作での受賞となった。
芥川賞を受賞した「推し、燃ゆ」は、男性アイドルを推す女子高生を主人公にした物語。「推し」がファンを殴る事件をきっかけに変化していく主人公の心理を綴りながら、一方的に誰かを「推す」ことの陶酔と悲しみを描いている。
早稲田大学教授の尾崎真理子さんは、本作について「季節も周囲もまともに見なかった多感なメディア少女が、目の前の風景を発見するに至る、一番新しくて古典的な、青春の物語だ」(読売新聞・書評)と評している。
( https://www.bookbang.jp/review/article/654237 )
著者の宇佐見さんは、1999年静岡県生まれ。神奈川県在住の大学2年生。2019年に「母と娘」をテーマに描いた『かか』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。同作は2020年に史上最年少で第33回三島由紀夫賞を受賞し注目を集めた。また、21歳での芥川賞受賞は史上3番目に若い受賞者となる。
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- 心淋し川
- 価格:1,760円(税込)
直木賞を受賞した『心淋し川』は、千駄木の川沿いに建てられた古びた長屋で、わだかまりを抱えながら暮らす人々の営みを描いた時代小説。
書評家の大矢博子さんは、本作を読み、社会の底辺で暮らす人々をどぶの泥に喩えた名作時代小説『どぶどろ』(半村良・著)を連想したと触れ、「興味深いのは、不遇な状況にありながらも一発逆転を狙うのではなく、この場所でやりなおそうとする姿を描いている点だ」(青春と読書・書評)と評している。
( https://www.bookbang.jp/review/article/637926 )
著者の西條さんは、1964年北海道生れ。2005年に『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞しデビュー。2012年に『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年に『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞している。
芥川賞・直木賞はどちらも昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品が対象。主に新人作家に与えられる。直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短篇および長編の大衆文学作品を対象に優秀作を選定。主に新進・中堅作家が対象。
第164回の候補作は以下のとおり。
■第164回芥川龍之介賞(文芸誌)
宇佐見りん「推し、燃ゆ」(文藝秋季号)
尾崎世界観「母影」(新潮12月号)
木崎みつ子「コンジュジ」(すばる11月号)
砂川文次「小隊』(文學界9月号)
乗代雄介「旅する練習」(群像12月号)
■第164回直木三十五賞(出版社)
芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)
伊与原新『八月の銀の雪』(新潮社)
加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)
西條奈加『心淋し川』(集英社)
坂上泉『インビジブル』(文藝春秋)
長浦京『アンダードッグス』(KADOKAWA)
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