可愛く撮れなかったら再生回数がヤバい……20代の本好き女子・三宅香帆と梨ちゃんの悩み多きYoutuber生活

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文学少女に憧れて

梨 三宅さんの思い出の一冊ってありますか?

香帆 青い鳥文庫に入っていた、はやみねかおるさんの夢水清志郎シリーズがすごい好きでした。初めてシリーズものの作品でドハマりしました。小学五年生の時です。

梨 私も同じくらいの年齢の時に、はやみねかおる作品を読んだ記憶があります。シリーズの楽しさってありますよね、登場人物達に「また会えた~!」みたいな。

香帆 この間、実家帰った時に読み返してたら、パロディの量がすごいことに気づきました。はやみね先生自身がたくさん本を読まれているから、色んな小説のパロディを仕込んでくれているんです。そのことに後書きでも触れていて、それが私の本好きへの入り口だったのかもしれません。私たち世代の本好きの人で、はやみねかおる作品にハマってた人多いですよね。

梨 (夢水清志郎シリーズに登場する三つ子の長女)亜衣ちゃんが文学少女だったじゃないですか。小学生の私から見るとお姉さんなので、それに憧れて本を読んでいた思い出があります。

香帆 分かります。

梨 うちの本棚で一番ボロボロなのは『エルマーのぼうけん』。エルマーが旅に出るときに色々リュックサックにものを詰め込むんです。ペロペロキャンディ何本とか、乾燥イチジク何個とか、そういうのがバーッて書いてあるところがあって、そこが凄く好きで何度も読み返していました。それが原点で、最近私がよく動画に出している文芸誌は、高校生から読み始めました。学校の図書館に、なぜか「文學界」と「群像」だけおいてあって。

香帆 私は「ダ・ヴィンチ」とかは読んでましたけど、文芸誌を買い始めたのは最近な気がします。

梨 普通の本好きは、いつ文芸誌の存在を知るんでしょうね?

香帆 でも最近はSNSでも文芸誌の話題が盛り上がってますよね。梨ちゃんさんの影響もあると思います。

梨 動画始めてびっくりしたことの一つが、文芸誌のことを知りたがっている人がこんなに多いのかということ。文芸誌の動画をもっと観たい、今月、梨ちゃんが買った文芸誌を教えて、ってコメントを沢山頂くんです。読者になりうる潜在的な層って沢山いるんだなと思いました。それこそ、この「波」もそうかもしれないですよね。三宅さんは今後挑戦してみたい動画の企画あります?

香帆 作家ごとの解説をいつかやりたいなーって。NHKの「100分de名著」って番組があるじゃないですか。あれの10分とか短いバージョンで、作家についてもう少し突っ込んだ話とか解説をしてみたいです。力を蓄えて、いつか。

梨 それ、すごく観たいです! 私は飲み屋で飲みながら本のこと話す動画をあげたい。この間新潟に行った時に、夜から開店する古本屋さんを訪ねたんです。本に囲まれてお酒を飲めるお店で、ユニークじゃないですか。お客さんも本好きの集まりで、亭主が泥酔したら閉店(笑)。そういうお店で撮影してみたいです。

香帆 本とお酒って相性いいですよね。その動画コラボしたいです。

梨 是非是非、やりましょう。

新潮社 波
2022年6月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろん、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。これからも新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の波を読者の方々にご提供していきたいと思っています。