「日本人の7人に1人」はいる「境界知能」 普通と知的障害のはざまで苦しむ子どもたち 『ケーキの切れない非行少年たち』の宮口幸治氏新刊がベストセラー

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 8月15日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』が獲得した。
 第2位は『世界はなぜ地獄になるのか』。第3位は『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』となった。

 4位以下で注目は10位に初登場の『境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ』。児童精神科医の宮口幸治さんが人口の十数%いるとされながらもなかなか気づかれることがない「境界知能」と「軽度知的障害」の実態について解説し、そんな子どもたちを支援するための方法やトレーニングについて解説した一冊。「境界知能」は宮口さんが2019年に上梓した新書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮社)でとりあげ大きな注目が集まった。

 境界知能の子どもは同書によると「日本人の7人に1人」はいるはずだが、一見すると普通の子にみえ見過ごされてしまうことが多いという。宮口さんによると、知能指数は「70以上85未満」で知的障害とは認定されないが学校の授業には「ギリギリついていけるかいけないかのライン」だという。そのため学習の遅れは本人の努力不足とみなされる。また友達とうまくつきあうことができない、感情をコントロールすることが苦手、等の特徴も抱えており、本人も大変な生きづらさを感じている。同書ではそうした子どもたちの認知機能を伸ばすためのトレーニング「コグトレ」についても解説されている。

1位『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ[著]秋田喜美[著](中央公論新社)

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか? 子どもはいかにしてことばを覚えるのか? 巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは? 言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。(中央公論新社ウェブサイトより)

2位『世界はなぜ地獄になるのか』橘玲[著](小学館)

人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。だが、光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。「誰もが自分らしく生きられる社会」の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは終わりのない罵詈雑言の応酬が続いている──。わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。ベストセラー作家の書き下ろし最新作。(小学館ウェブサイトより)

3位『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』堤未果[著](幻冬舎)

「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは? 滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。(幻冬舎ウェブサイトより)

4位『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝[著](幻冬舎)

5位『「発達障害」と間違われる子どもたち』成田奈緒子[著](青春出版社)

6位『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』手嶋龍一[著]佐藤優[著](中央公論新社)

7位『脳の闇』中野信子[著](新潮社)

8位『日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで』磯田道史[著](中央公論新社)

9位『教養を磨く 宇宙論、歴史観から、話術、人間力まで』田坂広志[著](光文社)

10位『境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ』宮口幸治[著](SBクリエイティブ)

〈新書ランキング 8月15日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年8月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク