-
- 厨房の哲学者
- 価格:1,650円(税込)
中国料理の著名なシェフによる自伝。生い立ちから、中華鍋を洗い続ける下積み時代を経て料理人として成功し、コロナ禍を乗り越えるまでをつづっている。
店の格を示すグランドメニューの厚さ、注文が入る前から何日も丹精込めて戻すフカヒレやナマコなどの高価な乾物、中国人の親方たちが鯉の頭や鶏のトサカを集めて作るまかない料理…といった高級中国料理店の奥深い世界が興味深い。
著者は「食神がついている」という易学者の父により、中学卒業後すぐ高級中国料理店の厨(ちゅう)房(ぼう)へ入れられた。進学できず未来の可能性を閉ざされると思い込んでいたが、下積み時代に「どこかに辿(たど)り着くためには(中略)ひとつの道を選んで、その道を歩き続けなければいけない」と気付き、中国料理を「この道」と定めた。その心の動きをていねいに書いた。
今月発売されたばかりだが、すでに3刷2万3000部を発行。幻冬舎では好評を博した要因を「夢や目標を持てなくても、まずは目の前のことと格闘する、そこから本当の人生は始まるというメッセージに説得力がある」と分析する。また、中国料理に関する教養の書としても読み応えがあるとしている。中華好きにもお薦めの一冊。(幻冬舎・1650円)
寺田理恵
産経新聞社「産経新聞」のご案内
産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。
関連ニュース
-
『不死身の特攻兵』と「日大アメフト問題」の共通点「日本的同調圧力」を克服するには
[ニュース](哲学・思想/日本史/倫理学・道徳)
2018/08/25 -
大長編「三国志」をたったの2巻で完全理解 ひろゆきも「コスパいいよね」
[ニュース](コミック/自己啓発/世界史/エッセー・随筆/占い)
2021/02/27 -
矢部太郎 新作『ぼくのお父さん』は40年前の東村山が舞台のノスタルジックで心温まる物語
[ニュース](コミック)
2021/06/26 -
百田尚樹も危惧「舛添以下ってどうなんや…」『「小池劇場」が日本を滅ぼす』
[ニュース](政治/外交・国際関係/社会学/エッセー・随筆/韓国・北朝鮮)
2017/06/24 -
矢部太郎著『マンガ ぼけ日和』は「のんびりした余白が認知症患者の切なさを浮き彫りにする」いざというときの「心のコツ」を教えてくれる一冊[ノンフィクションベストセラー]
[ニュース](自伝・伝記/介護)
2023/07/08