寒冷刺激によって免疫力と基礎代謝量が高まるわけ
いくつもの論文から、寒冷刺激が細胞を活性化させたり、数を増加させたりして、病気を防ぐ、肥満を解消するなどの健康効果を上げていることがわかりました。さらに探っていくと、以下のようなことがわかってきたのです。
1.寒冷刺激は、交感神経を介してNK細胞とキラーT細胞を活性化させる。それにより感染症やがんの予防に効果が期待できる。
2.寒冷刺激は、交感神経を介して褐色脂肪細胞を活性化させる。それにより基礎代謝量を高める。中性脂肪を燃焼させて肥満の解消、糖尿病の改善が期待できる。さらにがん細胞の増殖を抑える。
免疫細胞(NK細胞とキラーT細胞)は免疫力を、褐色脂肪細胞は基礎代謝量を高めるものですが、どちらの細胞も私たちの体にすでに存在しています。ところが、体調を崩しやすい、体の不調を感じている人は、これらの細胞が反応しにくい、あるいは活動しにくい状態になっています。健康でない体は、これらの細胞の“スイッチがOFFになっている状態”と考えるとわかりやすいかもしれません。
私が実践するCOOLアタックは、シャワーの水を首から肩周辺にかけることで、これらの細胞のスイッチをONに切り替えて活発にはたらくようにします。これが細胞を活性化させるということです。
基礎代謝量を高めるために着目すべきは、“褐色脂肪細胞”です。
褐色脂肪細胞は、脂肪分を分解して燃焼する作用を持ち、首や肩の周辺、肩甲骨の間など限られた場所に存在しています。そして、この細胞は、ミトコンドリアを豊富に含み、強力な熱産生力があります。
褐色脂肪細胞を最も多く持っているのは、生まれたばかりの赤ちゃんです。乳幼児は体温維持や生命維持のために褐色脂肪細胞がかかせませんが、それが成長とともに主に骨格筋がその役割を担うようになるため、褐色脂肪細胞はしだいに減少。成人になるとその機能も徐々に低下し、特に40歳以降は急激に減少して消失すると考えられてきました。
ところが最近、がん診断などに使われるPET撮像装置というものによって脂肪細胞を可視化できるようになったことで、成人になっても褐色脂肪細胞がある程度残っていることがわかってきたのです。
免疫力と基礎代謝量を高める「寒冷刺激」
加齢とともに減少する褐色脂肪細胞をいかにして活性化させるか。これはCOOLアタックの有効性を証明するためにも重要なことでした。その仕組みを調べていくうちに、答えを見つけました。褐色脂肪細胞の活性化には、交感神経が関わっていたのです。
「寒冷刺激が脳の中枢を介して交感神経を刺激したことで、褐色脂肪細胞が活性化され、熱産生が起こる」という研究報告をはじめ、交感神経から分泌される神経伝達物質(ノリエピネフリン)が、褐色脂肪細胞を活性化させるという研究報告が多数出てきました。そこで、交感神経をはたらかせるCOOLアタックの優位性を確信しました。
それならば、誰もが実践しやすく、続けやすい方法を……と考え、自分自身の実体験に基づいてたどり着いたのが、免疫や代謝アップにはたらきかけるCOOLアタックです。
青木厚(アオキアツシ)
医学博士。あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、高脂血症、生活習慣病が専門。インスリン離脱やクスリを使わない治療に成功するなど成果を挙げている。自身も40歳のときに舌がんを患うも完治。本書の健康法を実践し、がんの再発を防いでいる。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム刊)は40万部を超えるベストセラーとなる。
青木厚(あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長)/イメージ画像:Shutterstock/図版:香取杏子
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