著者は「生まれた時から家に“ばあや猫”がいて…」と記す。その猫は母性愛にあふれ、赤ちゃんだった著者を優しく抱き、ゴロゴロとのどを鳴らす子守歌で眠りに誘ってくれたという。
定かな記憶ではなく、そのぬくもりを肌が覚えていて、それが猫との初めての出合いだった。
本書では数々の猫たちとのかかわりを通して、「昭和の猫たち」のたくましさと、それに比べて平成の猫たちを飼う人々の過保護、過干渉ぶりなどを淡々とつづる。
猫好きは無論のこと、2つの元号にわたる生活の変遷も読んでみてとれる。(河出書房新社・1600円+税)
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2017年3月26日 掲載
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