そもそも勉強によって自由になるとは?

レビュー

6
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勉強の哲学 来たるべきバカのために

『勉強の哲学 来たるべきバカのために』

著者
千葉 雅也 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163905365
発売日
2017/04/11
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

そもそも勉強によって自由になるとは?

[レビュアー] キリスト新聞社

 「来たるべきバカのために」という副題は、一見読み手を見下しているような印象を受けるが、本書の内容はその印象とは真逆だ。丁寧に学ぶことの構造をひも解いている。

 「勉強を深めることで、これまでのノリでできた『バカなこと』が、いったんできなくなります。『昔はバカやったよなー』というふうに昔のノリが失われる。全体的に、人生の勢いがしぼんでしまう時機に入るかもしれません。しかし、その先には『来たるべきバカ』に返信する可能性が開けているのです」

 著者は、現代ほど学ぶことに適した環境はないと指摘した上で勉強の深みへと読者を誘う。

 まず勉強とは「言語偏重の人になる」ことだという。「勉強によって自由になるとは、キモい人になること」である。勉強の構造における「ボケ」としてのアイロニー、「ツッコミ」としてのユーモア、第三極としてのナンセンスの関係が提示され、「決断ではなく中断」することで勉強の動機と過程を具体例で示す。信仰者であれば、ここで現代フランス思想における宗教への態度を想起させられるかもしれない。

 最後に「勉強を有限化する技術」が実際に勉強を始めて続けていくための手引きとして記される。学びたい老若男女の必携ガイド。

キリスト新聞
2017年5月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

キリスト新聞社

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