「自分ルール」を設けよう! 人気ブロガーが教える「モノ選び」のポイント

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後悔しないモノ選び

『後悔しないモノ選び』

著者
ひより [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784046019325
発売日
2017/06/30
価格
1,320円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「自分ルール」を設けよう! 人気ブロガーが教える「モノ選び」のポイント

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「後悔しないもの選び」は、ちょっとした意識を変えるだけで実現するものです。言い換えれば、意識さえすれば誰にでも身につくスキルだと私は感じています。

無駄な買い物がなくなれば、お金も時間も節約できます。

そして、その節約した時間やお金を、自分のやりたいことなどに使ってみてはいかがでしょうか?

そうすることで、今よりも充実した暮らしが手に入るかもしれません。

(「はじめに」より)

こう綴っているのは、『後悔しないモノ選び』(ひより著、KADOKAWA)の著者。日常の買い物やインテリアなどに関する情報を、8年間にわたって発信し続けている人気ブロガーです。

そんな著者は数多くの買い物を通じ、「もの選びにおける失敗を極力減らす方法」を自分なりに分析したのだそうです。その結果、後悔するような買い物がグッと減ったのだとか。普段あまり深く考えずに買ってしまっているものにも、ちょっとした手順や準備、心がけなどを加えるだけで、思った以上の満足感を得ることができると気づいたというのです。

つまり本書では、そうした考え方に基づき「失敗しないモノ選びの法則」を紹介しているわけです。買い物における失敗を減らすための秘訣に触れている第1章「意識を変えるだけで、誰でも買い物の失敗は減らせる」を見てみましょう。

買い物における「失敗」とはなにか

自身の買い物を振り返ってみて「失敗」の定義をすると、それは2つの要因に分けられると著者はいいます。1つは「買わなければよかった」と思うこと。そしてもう1つ、「買わなくてもよかった」と感じることも失敗だと言います。どちらも似たような表現ですが、それは著者にとっての買い物の楽しみが、購入前も大いに含まれいてることが関係しているから。

著者自身は、購入前に商品の調査をするため、「買わなければよかった」とまで後悔することは少ないというのです。「購入前の商品調査」などと聞くと、いかにも難しそうにも感じますが、つまりはウィンドーショッピングが好きだということ。

しかも、それは実店舗での買い物だけでなく、オンラインショッピングでも同じ。いろいろなショップを比較したり、商品のバリエーションを知るためにメーカーのサイトを見たりと、ネットをあちこち歩き回り、長時間にわたって没頭してしまうというのです。いいかえれば、最短で知る、決める、選ぶことが目的なのではなく、「できる限り探す過程も楽しむ」ということ。そして、そういう感覚で買い物をすることで、失敗を減らせているのだといいます。

たとえばカーテンが欲しいなら、まずは必要なサイズ、枚数、機能を書き出す。そして次に、自分にとって付加価値となる条件(色、素材、時期など)を考える。それらを把握できたら、最初にネット検索。そのプロセスを楽しむことが大切だというのです。(20ページより)

ウィッシュリストをつくるだけで買い物はうまくいく

買い物をしていると、「カーテンを探していたはずなのに、気がついたらフライパンを買っていた」というようなことは少なからずあるもの。それが結果的に「買ってよかった」と思えるものであれば、その買い物は成功です。ところが勢いや一時の衝動で購入してしまった予定外のものは、やはり失敗しがち。

そんな失敗は著者も経験してきたといいますが、ウィッシュリストをつくるようになってからは失敗もかなり減ったそうです。

中学生、高校生くらいの頃から、欲しいものリストを書き出していました。友人と始めたことですが、数カ月から1年に1度、その友人と会うときには前回のリストを持ち寄って、「これは手に入れた」「これは欲しく無くなった」と答え合わせをするのです。そして、また新たに欲しいものリストをつくる。(29ページより)

いまは書き出すことはしていないものの、頭のなかには常にウィッシュリストがあるのだそうです。

出会い頭に「素敵!」とすぐ購入するのではなく、いったんリストにしまう。

「あの店で見たフライパンが素敵だった。今度フライパンを買い換えることになったら、選択肢に入れよう」という感じで、記憶に残しておくのです。(30ページより)

たいしたことではないようにも思えますが、ウィッシュリストを意識するようになってからは、ものを買うとき以上に、「リスト入りする情報を増やしていく」こと自体が楽しくなったのだといいます。そのため、「欲しいものを買うときの選択肢がたくさんあること=選ぶ楽しみがたくさんあること」と考えることができるのであれば、この方法で買い物の失敗を減らせるかもしれないそうです。(28ページより)

使用頻度に対する「自分ルール」を設ける

著者はものを選ぶとき、他の人から見たら同じような服や食器でも、自分にとって「これは!」という確信があるものであれば買ってもよいと考えているといいます。

極端な話、一度着ただけでそのあと一年間袖を通さなかった服でも、買ってから一度も食卓に乗せられていない食器でも、「それがある」という安心感や高揚感のようなものが必要だと思えば、捨てずに持ち続け、「それらはいつか必ず使う」と確信しているというのです。

とはいっても、使用頻度の低いものを持つときには、特に気をつけている「自分ルール」もあるといいます。

まずは、使うシーンの具体的なイメージができていること。「なんとなくかわいいオブジェ」として購入することはなくても、「クリスマスツリーのオーナメントにしたい」というような具体的なイメージができあがっているのであれば、それは購入するという考え方。

もうひとつは、収納も含めて考えるということ。「いつ使って、いつしまう」「しまう場所はどこで、どんなふうにしまうのか」「ちゃんと自分の好みのしまい方ができるかどうか」と、そこまでのすべてを考えたうえで購入すれば、失敗だと感じることが少なくなるというのです。

ところでセールや、ポイント絡みのお得なキャンペーンのときなどには、ついつい大量に買い物をしてしまうことがあります。もともと目をつけていたものだけでなく、タイムセールや送料無料などのお得なタイミングに心を奪われ、必要以上のものを買ってしまうことも少なくないかもしれません。

もちろんそれは、失敗しやすい行動パターンでもあります。しかし著者は必ずしもそれを否定するのではなく、「消耗品なら必要以上のまとめ買いもよし」という自分ルールを守っているのだそうです。当然ながら、いつも使っている洗剤やティッシュペーパー、入浴剤など、消耗品であればいつか必ず使い切るから、(44ページより)

定番があるからこそ自由になれる

日常の買い物において、著者が買うものはブランドやメーカーもバラバラ。そのため見る人によっては一貫性がないように思われるかもしれないけれども、実は定番を決めることがとても好きなのだそうです。調味料は特にそうで、「お醤油ならこれ、料理酒ならこれ」と、すべて決まっているのだとか。

ただし、定番を決めるまでに時間がかかることが多いのだそうです。しかも自分の足で探すだけではなく、雑誌を読んだり友人から教えてもらったり、信頼するブロガーのオススメを調べたり、可能な限り情報収集するというのです。

そして、そうやって収集した多くの選択肢のなかから、「これは」と思う候補を順番に使ってみる。つまり、いろいろ試しながら定番化していくということ。手間のかかることのようにも思えますが、少なくとも著者は、比較することを楽しみのひとつだと考えているようです。

ちなみに最初から「これだ!」と感じるものに当たることもあるけれど、効率よく見つけることばかりが正解だとは思っていないそうです。あれこれ試したあげく、いちばん初めに買ったものを定番化することもあるけれど、それもまた楽しみのひとつだということ。

しかも、自分にとっての定番があるからこそ、ときには新しい商品を試して見たくなるものだといいます。そして、そう簡単には崩されない定番のあれこれを、「もしかしたら上回るかも」という新商品を見つけたときには、とてもワクワクするのだとか。つまり著者にとっての定番とは、「現在の」自分にとってベストだと思えるものだということ。必ずしも、永遠に変わらないという意味ではないわけです。

心地よいのは、「いろいろ試した結果、いまはこれがベストだと思っている」状態。そして、それを超える新商品と出会ったら、定番を更新すればいいという発想。そういうスタンスでいれば、常に好奇心のアンテナを張っていられるはず。そして自分の定番を決めることは、その枠にとらわれることではなく、むしろ自分自身の選択肢を広げてくれる。そういう考え方を大切にしているというわけです。(54ページより)

決して難しいことが書かれているわけではなく、むしろ考え方はいたってシンプル。しかし、それらは日常生活のなかで忘れてしまいがちなことでもあるかもしれません。だからこそ、「自分にとって大切なもの」を再確認するためにも読んでみる価値はあるかもしれません。

メディアジーン lifehacker
2017年7月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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