大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『コンビニ人間』で注目された作家のすごみがぎっしり詰まった過激な長編小説。
主人公の少女が暮らしているのは、人工授精の技術が飛躍的に向上したもうひとつの日本。そこでは男女のセックスは過去の遺物とみなされている。出産はコンピューターで管理され、男性が使うための「人工子宮」の開発も着々と進む。
男女の性差や家族も消えゆくそんな世界は、絵空事とは言い切れないリアリティーを備える。読みながら、これまで当然だと受け止めてきた常識や価値観を激しく揺さぶられる。(村田沙耶香著、河出文庫・630円+税)
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2018年9月9日 掲載
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