『おでんのおうさま』
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【児童書】『おでんのおうさま』山本祐司作
[レビュアー] 中島高幸
■がんもやだいこん大騒ぎ
冷え込むこの時季はおでんが恋しくなる。にぎやかな表紙をながめていると、ほかほか湯気が漂ってきそうで、おなかが鳴る。
「みなさん、来てくださーい」。鍋の底のだしこぶが声をあげた。すると、がんもやだいこん、こんにゃくといったおでん種たちが次々と登場し、「おれがおでんのおうさまだ!」と主張し始めた。
しらたき、卵なども参戦し、20種以上のおでん種たちで大騒ぎに。おうさまはだれなのか-。そこへだしこぶが放つ一言がすばらしい。
温かみのある作風の山本祐司さんは絵本のほか、書籍の表紙や挿絵など幅広く活動。個性的なおでん種たちの主張がユーモアたっぷりに描かれている。車麩(くるまぶ)、黒はんぺんといった地域性豊かな具材も登場し、新たな発見があるかも。
エッセイストの阿川佐和子さんが帯の推薦コメントを寄せている。本を閉じたとき、だれもがこの一文に首を縦に振るはず。「どうしても、おでんを食べたくなりましたぞ」(ほるぷ出版・1350円+税)
中島高幸