花と女の子と殺人事件――『さよなら願いごと』著者新刊エッセイ 大崎梢

エッセイ

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さよなら願いごと

『さよなら願いごと』

著者
大崎梢 [著]
出版社
光文社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784334913502
発売日
2020/05/21
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

花と女の子と殺人事件

[レビュアー] 大崎梢(作家)

 書店に勤めていたので、仕事内容をミステリ仕立てにしていくつか短編を書いたところ、声をかけてくれる出版社(東京創元社)があり、『配達あかずきん』という本になりました。長年夢見ていたデビューが叶(かな)い、まさに天にも昇る気持ちだったのですが、書店以外の業種を書く自信はなく、お仕事小説の依頼があったらどうしようと戦々恐々でした。

 そんな中、東京創元社以外で初めて会ったのが光文社。にえきらない態度を取るよりは、きちんとお断りした方が誠意があるのではと私なりに腹をくくっていると、目の前に現れた編集者は『配達あかずきん』のようなものとは言わず、「何が書きたいですか」と、いわゆるド直球を投げてきました。

 やってみたいことはあったのです。市井(しせい)に生きるごくふつうの主人公が思いがけない出来事に遭遇し、抜き差しならない状況に追い込まれ、絶体絶命のピンチの中、誰も知り得なかった真相にたどり着く、そんな話を書いてみたい。「いいじゃないですか」とうなずかれ、後に引けない思いで挑戦し、なんとか出来上がったのが『片耳うさぎ』です。

 気がすんだかと言えばそうではなく、この「やってみたいこと」は私自身の創作意欲と直結しているらしく、またしても思う存分やらせてもらい、『さよなら願いごと』という本になります。

 第一章は『片耳うさぎ』と同じく、小学生の女の子が主人公。第二章は中学生の女の子、第三章は高校生の女の子と、花をモチーフにおまじないや占いを絡めて話は繋(つな)がります。こう書くと可愛(かわい)らしいのですが、このリレーのバトンとなるのは殺人事件。順繰りに渡されていって、第四章ですべてが明らかになります。

 女の子が主人公というのもこだわっている点で、世間から甘く見られがちな存在が、力を込めて放つ矢。それが硬直した現実を切り開くところを、見てみたいじゃないですか。

光文社 小説宝石
2020年6月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

光文社

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