<東北の本棚>親子でえほん
[レビュアー] 河北新報
少女と迷い子犬の愛情あふれるきずなを描いた。ほっこりと優しい気持ちに包まれる。
出会いは公園のベンチの下。女の子が帰りがけに見つけたその子犬は、いつの間にか家までついてきた。おやつを半分のこし、ひざの上で安心したように眠る子犬。だが突然起き、そのまま走り去ってしまう。
夜からの雨。翌朝、女の子は公園をさがし回ったが、子犬は見つからない。両親はペットショップに行こうと言うが、「いらない!」と布団をかぶる。子犬への愛情は、知らない間に大きくふくらんでいた。
「もどっておいで」。少女のいちずな願いはある朝、かなう。やわらかな線で描かれる少女と子犬の豊かな表情がとてもかわいらしい。「よかったね」と思わず言いたくなる。
作者は横手市出身。フリーのイラストレーターを経て、絵本作家として活躍する。(浅)
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リーブル03(3958)1206=1320円。