『色の名前の日本史』
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【気になる!】文庫『色の名前の日本史』
[レビュアー] 産経新聞社
美少年の平敦盛が着ていた鎧(よろい)の色「萌葱(もえぎ)匂い」は「萌黄(もえぎ)匂い」とも書く。中学で「平家物語」を教わったときは黄色と思い込んでいた。本書によると、萌葱色は葱(ねぎ)の萌(も)え出る色から生じた緑系の色名。萌葱匂いはそのグラデーションで、若武者ぶりを表している。
本書は、日本の伝統色138色の名前を色見本や歴史的逸話とともに紹介している。江戸時代に流行した茶色は煤竹(すすたけ)、路考茶(ろこうちゃ)、海松(みる)茶…と、さまざまな茶系色を取り上げた。浮世絵に使われた青や王朝文学の装束の色なども。平成15年に刊行された新書の文庫化。古典を読む際のお供に。(中江克己著、青春文庫・1078円)