【気になる!】新書『伊賀の人・松尾芭蕉』北村純一著

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伊賀の人・松尾芭蕉

『伊賀の人・松尾芭蕉』

著者
北村 純一 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784166613489
発売日
2022/01/20
価格
935円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【気になる!】新書『伊賀の人・松尾芭蕉』北村純一著

[レビュアー] 産経新聞社

江戸時代に下級武士の家に生まれた芭蕉が作句で頭角を現し「俳聖」と呼ばれるようになるまでを描いたエッセー。人間味あふれる描写により、芭蕉を身近に感じる。その好例が、本書に収録された句「何に此(この)師走の市にゆくからす」(人でごった返す歳末の市へ用もないのにどうして烏(からす)が向かってゆくのだろう)。世俗の喧噪(けんそう)に心ひかれる自分を戒める様子が伝わる。

芭蕉が煩悩と闘い、自己陶冶(とうや)していく過程は興味深い。生涯の大半を旅に費やした俳聖の歩みを疑似体験することもでき、コロナ禍の閉塞(へいそく)感を打破するような気分が味わえる。(文春新書・935円)

産経新聞
2022年3月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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