日本列島どこへ行っても同じような風景ばかりになった、と嘆きたくなる昨今だが、個性的な村はまだまだあると教えてくれるのが本書だ。
島根の山間にある玉山は水晶の産地だった。そして江戸時代には鉄の産地でもあった。そこから著者は水晶と「たたら製鉄」の関係を探っていく。
ほかにもアイヌ語を残す秋田マタギの故郷、出雲の阿国ゆかりの踊り「綾子舞い」を伝える新潟の村、大嘗祭(だいじょうさい)で新天皇が着用する麻服を作り続けてきた徳島の村など、9つの民俗誌を収めている。平成28年に刊行された同名書に増補した。(河出書房新社・2695円)
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2022年10月16日 掲載
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