『正倉院のしごと』
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【気になる!】新書『正倉院のしごと』
[レビュアー] 産経新聞社
正倉院宝物は1300年にわたり、どのように守られてきたのか。宮内庁正倉院事務所長を務めた著者が宝物の保存や修理の歴史と現状を紹介する。
正倉院には天皇の直筆で扉の鍵を封じる勅封が施され、時の権力者といえどもみだりに開けることができない。織田信長が天下の名香「蘭奢待(らんじゃたい)」を切り取った逸話はよく知られているが、東大寺側が勅封を盾に開扉を断ると、信長は朝廷に依頼し正式な手続きを踏んで開かせたという。今も勅封による管理を続けているのは、有効に機能した実績があるからだ。知られざる舞台裏が明かされる。(西川明彦著、中公新書・990円)