目安は7時間眠ること。「免疫力をあげる」睡眠習慣を身につけるには?

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名医が教える 免疫力が上がる習慣

『名医が教える 免疫力が上がる習慣』

著者
小林弘幸 [著]/玉谷卓也 [監修]
出版社
アスコム
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784776212744
発売日
2023/03/30
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

目安は7時間眠ること。「免疫力をあげる」睡眠習慣を身につけるには?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新型コロナウイルスは、だいぶ落ち着いてきたようです。しかし、だからといってコロナ禍で落ちた免疫力がすぐに戻るわけではないでしょう。だからこそ、コツコツと免疫力を上げる習慣を実行し、自分の体を守ってほしいーー。

名医が教える 免疫力が上がる習慣』(小林弘幸 著、玉谷卓也 監修、アスコム)の著者はそう述べています。つまりここでは、そのような思いをもとに免疫力の仕組みや大切さを伝え、さまざまな免疫力を上げる習慣を紹介しているのです。

本書では、免疫力を上げるために行う習慣を、「免活」と呼ぶことにします。

意外にちょっとしたことが免活になりますし、未知の感染症を必要以上に恐れることもなくなりますし、病気に強い体を手に入れられるようになります。

また、気になっている体の不調も、気づいたら消えているはずです。

毎日、健康な体と心でいたいなら、まず、免活からはじめましょう。(42ページより)

今後、また新型コロナウイルスのような危機が訪れることがないとは限りません。また、世界が目まぐるしく動くなか、心身の不調をきたす、さまざまな要因が現れる可能性も否定できないでしょう。だからこそ、どんな状況下においても「いい調子」で毎日を過ごすため、免疫力に頼るべきだと著者は主張しているわけです。

きょうは「睡眠」に焦点を当てた第3章「睡眠を最高の『免活』にするちょっとしたコツは?」内の「『免活睡眠』は質が大事」に注目してみたいと思います。

「寝れば治る」は本当?

「寝れば治る」といわれることがありますが、著者によればこれは本当なのだそうです。もちろん重度の病気が治るわけではないものの、眠ることにより症状が楽になることは少なくないというのです。

なぜなら、眠ると余分なエネルギー消費を抑えられるとともに、免疫細胞が元気になるからです。

熱が出たり、風邪をひいたりしたときに眠くなるのは、免疫システムが強制的に睡眠状態に持ち込んで体を守ろうとする免疫反応なのです。(84ページより)

寝ているときに免疫細胞を元気にするのは、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」。成長期の骨格や筋肉の発達を促す物質として知られていますが、免疫力を強化する役割もあるというのです。

そのため充分な睡眠をとれているときは免疫はきちんと働いてくれますが、睡眠が不足すると成長ホルモンがうまく分泌されず、免疫力が低下してくるわけです。

睡眠時間が短いと風邪をひきやすくなることは、研究によっても明らかにされています。

米学術誌「Sleep」(スリープ)に発表された研究によると、睡眠不足の人が風邪をひく確率は、十分な睡眠をとった人より4倍以上高くなると報告されています。

一晩の睡眠時間が6時間未満だった人は、7時間を超える睡眠時間をとっていた人と比べて風邪の発症リスクが4.2倍高く、5時間未満の人は4.5倍も高いという結果でした。(85〜86ページより)

とはいえ、ただ眠ればいいというわけではなく、睡眠の「質」を重要視することも大切であるようです。(84ページより)

「質のよい睡眠」の特徴とは?

ご存知のように睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、私たちは眠っている間、この2つの眠りを約90分の周期で一晩に4〜5回繰り返しています。

レム睡眠は半覚醒状態にある浅い眠りで、体は眠っているものの脳は記憶の整理などを行っている状態。ノンレム睡眠は体も脳も急速に入っている状態で、眠りの深さによって3〜4段階に分けられるそうです。

質のよい睡眠に欠かせないのがノンレム睡眠で、とくに重要なのが、入眠から3時間までの深いノンレム睡眠の時間帯。以前は「22時〜2時の間が睡眠のゴールデンタイム」とされていましたが、近年は多くの研究により、成長ホルモンは時間に関係なく、眠りについてからの3時間のあいだに多く分泌されることが明らかになっているといいます。

つまり、眠りに落ちてから最初に訪れるノンレム睡眠の間にぐっすり眠ることができれば、成長ホルモンが分泌されて免疫力が上がるということ。睡眠の質がよいか悪いかを判断するのは難しいものですが、そこで著者は「質のよい睡眠」の特徴を挙げています。

・布団に入るとすぐに眠くなる。

・朝までぐっすり眠れる。

・すっきりと目が覚める。

・日中に眠気を感じることがない。

(88ページより)

逆に、次の項目がひとつでも当てはまる人は要注意だとか。

・眠るまでに時間がかかる。

・夜中に何度も目が覚めてしまう。

・朝起きたときに頭がボーッとする。

・昼間に強い眠気を感じて集中できない。

・寝ても疲れがとれない。

・眠りが浅くて熟睡感が得られない。

(85ページより)

「なかなか眠れない」「朝起きるのがつらい」「寝ても疲れがとれない」というような状態は、睡眠の質が悪くなっているサイン。そこで、睡眠環境の見なおしが必要になるわけです。(87ページより)

心がけるべきは「免活睡眠」

質のよい眠りを得ることができなければ、どんなに長時間眠ったとしても、睡眠が不足しているのと同じこと。体と脳が十分に休息することができずに疲れがたまるだけではなく、免疫力もどんどん低下してしまいます。

言い換えると、毎日充分に質のよい睡眠がとれていれば、免疫力は自然と高まり、病気に強い体を維持できるということでもあります。(90ページより)

たかが睡眠と侮らず、免活となる睡眠、すなわち「免活睡眠」を心がけるべきだということです。

睡眠時間は、短すぎても長すぎても免疫力が低下します。

免活睡眠がおすすめする睡眠時間の目安は、7時間。

まず起床時間を基準にして、そこから7時間を引き算して、就寝の時間を決める。

たとえば、いつも朝7時に起きるのであれば、就寝時間は夜12時になります。(92〜93ページより)

ただし睡眠時間は年齢や生活スタイル、季節などによっても変化するため、きっちり7時間ではなく、7時間程度ととらえるとよいそうです。(90ページより)

まず大切なのは、本書で紹介されている免疫力を上げる習慣のなかから「これなら続けられそう」と思うものを試してみること。著者はそう述べています。気楽に試してみれば、いつの間にか免疫力がついているかもしれません。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2023年6月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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