本州ではそろそろ見頃が終わるバラ。歴史的に、西洋世界ではこの花に特別な愛情が注がれてきた。古代ローマでは富裕層が競ってバラ園を造り、身の回りを花で満たしていく。高貴な花というイメージも、この頃に形成されたらしい。
欧州の花という印象が強いバラだが、意外にも19世紀初頭の西欧で栽培されていたのはわずか4種のみ。それが中国からもたらされたコウシンバラとの交配によって改良が大きく進み、現在の多様な品種が生み出されていく。植物学者が、バラという園芸植物の歴史を、それを愛した人々の逸話を交えつつ描き出す。(講談社学術文庫・1496円)
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2023年6月25日 掲載
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