『近代日本美術展史』
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『近代日本美術展史』陶山伊知郎著
[レビュアー] 産経新聞社
■新聞社と百貨店が共催する独特の仕組み
日本で美術展はどのように生まれたのか。特に、新聞社などマスメディアが美術展を美術館や百貨店と共同主催する日本独特の仕組みは、いかに醸成されたのか。その経緯や流れを一望できる文献はこれまで乏しかったという。
本書は新聞社の事業局で長年美術展を担当した著者が、明治維新から昭和49年の「モナ・リザ展」まで、近代日本における美術展の歩みを包括的にたどった労作。
戦時体制下の「正倉院御物特別展観」、マチスやピカソら巨匠へのアプローチ、8年がかりのゴッホ展など、展覧会にこぎつけるまでの興味深いエピソードも満載。(国書刊行会・8360円)