睡眠前に考えすぎてしまい眠れないクセを手放す「無意識」活用法

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無意識さんの力でぐっすり眠れる本

『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』

著者
大嶋 信頼 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784478116388
発売日
2023/06/29
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

睡眠前に考えすぎてしまい眠れないクセを手放す「無意識」活用法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

心理カウンセラーである『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼 著、ダイヤモンド社)の著者のもとには、以下のような悩みを抱えた方がたくさん訪れるのだそうです。

・布団に入ると、つい仕事のことを考えてしまい、頭がさえて眠れない

・「悩み」や「不安なこと」が次々と頭に浮かんで眠れない

・嫌いな人が頭に浮かんでイライラして眠れない

(「はじめに」より)

同じような方も少なくないでしょうが、「一生懸命考えることで解決しよう」と思うと、いつまでも考え続けることになって眠れなくなるもの。したがって「考えすぎてしまうクセ」を手放す必要があるわけですが、そのために大切なのは“無意識”に委ねること。

そもそも、無意識にできるはずの睡眠がうまくとれなくなるのは、「寝る前に考えすぎている=意識が働きすぎている」から。つまり意識の働きすぎを止め、無意識に委ねられるようになれば、ぐっすり眠れるようになるわけです。

では、どうやって無意識に委ねればいいのでしょうか?

この本では「催眠療法(現代催眠)」を使って、無意識を働かせていきます。

催眠というと、怪しげに思う方もいるかと思いますが、れっきとした心理学の手法です。催眠療法は、その人が本来持っている力を発揮できるようにするものです。(「はじめに」より)

催眠は、意識を混乱させることで無意識を働かせるもの。そこで簡単に意識を混乱させるために、著者は「暗示フレーズ」を考案して使うようになったのだそう。その結果、催眠導入に長時間かけたときと同じくらい、クライアントに対して効果を発揮したというのです。

第1章「本当は寝たいのに……なんで頭がさえてきちゃうの?」内の、「眠っているときに記憶を整理してくれる“無意識さん”に注目してみましょう。

「眠れない」=「意識のフル稼働」状態だから

責任感が強いために、自分を責めてしまって眠れなくなるのは、意識が強く働きすぎているから。

つまり「眠れない」のは、意識をフル稼働している状態だから。そこで“意識が働きすぎている状態”を「暗示」によってストップさせ、無意識に委ねることで眠れるようになる。著者はそう述べています。

私たちが生きるためには、意識と無意識の両方が大切です。

意識が働いている状態は、周りのことを認識できている状態です。意識が働くことによって、常識的に生きる(行動する)ことができます。

一方、無意識が働いている状態は、自然体で生きている状態です。

無意識は、私たちが意識できる以外のところで働いていて、心身を整えてくれています。(32ページより)

たとえば「呼吸」は意識して行っているものではなく、無意識の働きによって行われているもの。そんなところからもわかるように、意識の働いていないところで無意識が常にサポートしてくれているわけです。(31ページより)

嫌な記憶は無意識さんにお任せ

睡眠中は意識があまり働かず、無意識が働いてくれていろいろなものを整えてくれているのだそうです。

朝起きるとモヤモヤが晴れてスッキリしているのは、ごちゃごちゃして整理できなかった記憶と感情を、無意識が寝ているときにちゃんと整理してくれたから。

「寝て嫌なことを忘れる」と表現したりしますが、実際は忘れているわけではなくて、無意識に記憶を適切に整理してもらっているのです。

部屋が散らかっていたら嫌な気分になるのと同じで、記憶も散らかっていると「不快」になりますが、無意識が整理をしてくれるとスッキリします。(33ページより)

無意識によって整理された記憶は、あとから無意識によって美化されるようです。そのため、どれだけ大変なことがあっても、「あのときは大変だったけどよくがんばったなー」と懐かしく思えるようになるのだとか。

人間関係で不快な思いをしても、「無意識に記憶の整理を任せよう」と寝てしまえば「あれ? なんであんなことでくよくよ考えていたんだろう」と不快な気持ちを引きずらなくてすむはず。(34ページより)

つまりは呼吸と同じように、記憶の整理も無意識に任せておけばいいということ。逆に、「この嫌な気持ちをどうしたらいいんだろう」と、自分で不快な出来事の記憶を整理しようとしてしまうと、苦しくなって眠れなくなるわけです。

記憶をいじらなければ、解決策も浮かんでくる

つまり、とかく“妙な責任感”が邪魔をするということなのかもしれません。でも、「きょうも、やらなきゃいけない仕事がちゃんとできなかった」と自分を責める気持ちも、結局は「ただの記憶」にすぎないのです。だから、ゆっくり寝て、記憶の整理は無意識に任せればいいという考え方。

無意識は過去の膨大な失敗体験と今回の出来事を照らし合わせて、整理してくれています。それを意識的にやろうとしても難しい。

自分の失敗した出来事を意識的に整理しようとして、「過去の同じような失敗を参照」しても、「一晩じゃ終わらない!」といつの間にか朝になってしまいます。

部屋の片付けをするために、押し入れから荷物を出していったら、「どんどん取っ散らかって収拾がつかなくなった」と同じような状態です。(36ページより)

人間関係で嫌なことがあったら、「無意識に記憶の整理を任せよう」と、自分でその記憶をいじらずに眠ると、朝にはちゃんと整理されているものだと著者。したがって、やるべき仕事ができなかったときも、その体験を“無意識さん”に整理してもらうためにしっかり眠るといいそうです。

それは、無意識が過去の膨大な失敗体験と参照してくれて、記憶を整理して解決策を導き出してくれるからなのです。(37ページより)

まずは考えすぎることを避け、「あとは整理を任せたぞ!」と気楽に構えて眠ればいいようです。(35ページより)

著者の提唱する催眠療法によって無意識が働くようになると、不安感や恐れなどの不快な感覚から解放され、これまで抱えていた睡眠の悩みが消え去り、ぐっすり眠れるようになるそうです。眠れずストレスを抱えている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2023年7月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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