『パンでわかる包括的性教育』
- 著者
- 浅井 春夫 [監修]/ニシワキタダシ [イラスト]/礒 みゆき [著]
- 出版社
- 小学館クリエイティブ
- ジャンル
- 芸術・生活/家事
- ISBN
- 9784778035952
- 発売日
- 2023/04/14
- 価格
- 1,430円(税込)
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多様なセクシュアリティとは? 見た目はメロンパンでブドウ味!
[レビュアー] 夢眠ねむ(書店店主/元でんぱ組.incメンバー)
性教育が必要だと頭でわかっていても、どこからどこまでが教育なんだろう、そもそも本当に必要なの?と、充分な性教育を受けてこなかった層(私もです)は考えてしまうのではないだろうか。進んでいるようで後退している気しかしないLGBT関連の理解や、“性教育=エロいこと”のような前時代的な間違った認識を変えるために、まずは大人がしっかり勉強しなくてはと思いつつもどこから学ぶかはとても難しい。
“包括的性教育”は幅広い。身体や生殖の仕組みだけでなく、個性を認め合うことから、家族の形は色々であること、子どもが失敗する権利までさまざまである。『パンでわかる包括的性教育』は、えっ、パン? という驚きのタイトルと可愛いカバーのおかげで手に取りやすい。「難しく感じてしまう性教育を、多様性を感じるパンに置き換えることで、意外と人間の世界とパンの世界は近いかも?と、少しでも性教育を身近に」というコンセプト。読んでみるとなんとものんきで個性的なパンたちがのびのびと描かれており、とっつきづらいと感じていた内容もすんなりと入ってくる。
“性のあり方はいろいろ”という項目ではメロンパンが「メロンパンの見た目でブドウ味なんだ いいだろう?」「いいな~」と“自分らしさ”についてお喋りしている。ここに別のメロンパンがやってきたとして「メロンパンのくせに、変だ!」と怒るのを想像するとなんだか滑稽に感じないだろうか。別にメロンパンがメロンの味がしようがしまいが、メロン果汁が入ってようがなかろうが、ホイップクリームで着飾ってようがいまいが自分自身の心地よさに合わせれば良い。メロンパンがメロンパンの味じゃないと怒るなら、自分が勝手にメロンパンの味でいればいいだけだ。ユネスコ編国際セクシュアリティ教育ガイダンス準拠なのも安心ポイント。必要なことだからこそ、気軽に学べるのはとてもありがたい。