きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク
  • この夏の星を見る
  • プラネタリウムのふたご
  • オオルリ流星群
  • 短編宇宙
  • 星読島に星は流れた

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

[レビュアー] カドブン

星の名前には、不思議な魅力があると思います。
夏の大三角ならデネブ、アルタイル、ベガ。さそり座ならアンタレス。北斗七星ならドゥーベにメラク、北極星のポラリス。
同じ北極星でも、「子の星」や「北の明星」など土地によって呼び名は変わりますが、それでもこんなにも多くの人々が、別の場所から同じものを見つめて同じ名前を呼べる不思議。

今回ご紹介するのは、天体観測にまつわる5つのおすすめ小説です。

星を見つめ、星とともに生きる人々が、一人でそっと抱いた思い、誰かと互いに交わした思い、誰にも伝えなかった思い。
読み終えて見上げるあなたの空には、どんな思いが浮かぶでしょうか?

■思いはきっと、空に浮かぶ。おすすめの「天体観測小説5選」

■辻村深月『この夏の星を見る』(KADOKAWA刊)

きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」
きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

この物語は、あなたの宝物になる。

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322208000289/

■いしいしんじ『プラネタリウムのふたご』(講談社文庫刊)

きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」
きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう。

――星の見えない村のプラネタリウムで拾われ、彗星にちなんで名付けられたふたご。ひとりは手品師に、ひとりは星の語り部になった。おのおのの運命に従い彼らが果たした役割とは? こころの救済と絶望を巧まず描いた長編小説。

(あらすじ:講談社オフィシャルHPより引用)

■伊与原新『オオルリ流星群』(KADOKAWA刊)

きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」
きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

見えない星が、人生の幸せを教えてくれる。

「あのときのメンツ、今みんなこっちにいるみたいだぜ」「まさか、スイ子か? なんでまた?」スイ子こと、山際彗子が秦野市に帰ってきた。手作りで太陽系の果てを観測する天文台を建てるというのだ。28年ぶりの再会を果たした高校時代の同級生・種村久志は、かつての仲間たちと共に、彗子の計画に力を貸すことに。高校最後の夏、協力して巨大なタペストリーを制作した日々に思いを馳せるが、天文台作りをきっかけに、あの夏に起きたことの真実が明らかになっていく。それは決して、美しいだけの時間ではなかった。そして久志たちは、屈託多き「いま」を自らの手で変えることができるのか。行き詰まった人生の中で隠された幸せに気付かせてくれる、静かな感動の物語。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000343/

■加納 朋子、川端 裕人、寺地 はるな、酉島 伝法、深緑 野分、宮澤 伊織、雪舟 えま『短編宇宙』(集英社文庫刊)

きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」
きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

いまこそ宇宙を旅しよう

無限の想像力がきらめく、傑作アンソロジー!
心温まる家族の物語から、前代未聞のSF作品まで。いきなり文庫!

最近、夜空を見上げていますか? 個性豊かな人気作家陣が「宇宙」をテーマに描くのは、無限の想像力がきらめく七つの物語。石垣島を旅する父娘に、コロナ禍でステイホーム中の天文学者。銀河を舞台に戦う殺し屋に、恋する惑星!? じんわり泣ける家族小説から、前衛的SF作品まで、未知との遭遇を約束する傑作アンソロジー。鬱屈した日々に息苦しさを覚えたら、この一冊とともに、いざ宇宙へ!

(あらすじ:集英社オフィシャルHPより引用)

■久住四季『星読島に星は流れた』(創元推理文庫刊)

きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」
きっと、空を見上げる。「天体観測小説5選」

天文学者ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。

それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎回驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ。犯人は、この六人のなかにいる! 著者あとがき=久住四季

(あらすじ:東京創元社オフィシャルHPより引用)

KADOKAWA カドブン
2023年07月15日 公開 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

KADOKAWA

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク