『戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む』
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『戦国日本を見た中国人』上田信著
[レビュアー] 産経新聞社
1556年に海を渡った明代の中国人による訪日ルポ『日本一鑑(にほんいっかん)』を基に、戦国時代を捉え直した。外国人による戦国日本の記録はイエズス会宣教師の報告書が知られ、南蛮人の影響が実態より過大に評価されてきた。だが『日本一鑑』を読むと、日中間の往来の規模が圧倒的だと指摘する。
中国船は海上の目印となる屋久島を目指して航海してくる。屋久島周辺から畿内へは4ルートに分岐する。鉄砲の火薬や弾丸の原料となる硝石、鉛など軍事物資の輸入港・堺に向け、羅針盤を頼りに外洋を航行する太平洋ルートは日本史に大きな影響を与えたという。(講談社選書メチエ・1870円)