『日本人無宗教説』藤原聖子編著

「日本人は無宗教」とはよく言われる。対して「実は無宗教ではない」との反論もまた、折々に唱えられる。だがこの日本人無宗教説、いつから始まったのか。東大宗教学研究室の研究者らが、現在まで続く無宗教説の系譜を追う。

幕末期の訪日外国人に端を発した無宗教説は、明治期には文明化の観点で論じられ、大正から昭和初期は総力戦の時代背景から国家統合の面で注目された。敗戦後は残虐行為の原因と嘆かれたが、高度成長期以降は「無宗教も独自の宗教」と自己肯定する流れに一転。コロコロ変わる議論からは、日本人の自己認識の変遷が浮かび上がる。（筑摩選書・１８７０円）

• 筑摩書房
• 産経新聞社
• 藤原聖子
• 日本人無宗教説　――その歴史から見えるもの

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