【児童書】『ぼくのサビンカ』ラデック・マリー作、出久根育訳・絵

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ぼくのサビンカ

『ぼくのサビンカ』

著者
ラデック・マリー [著]/出久根育 [訳、イラスト]
出版社
ブロンズ新社
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784893097200
発売日
2023/06/08
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【児童書】『ぼくのサビンカ』ラデック・マリー作、出久根育訳・絵

[レビュアー] 藤井沙織(産経新聞社)

■一人と一匹の日常

主人公の「ぼく」と、黒と赤茶色の毛が交ざったさび猫の「サビンカ」の、何でもない、けれどいとおしい一日が、美しい色彩とともに描かれている。

朝起きて身づくろいをしたり、ご飯を食べたり、庭で遊んだり、ソファでくつろいだり―。食べている物や遊んでいるおもちゃは違っていても、一人と一匹はきょうだいのように一緒に過ごしている。夜になると、サビンカはネコの集会に出かける。そのとき、「ぼく」はもう眠っているのもほほえましい。

絵を担当した画家で絵本作家の出久根育(いく)さんはチェコ在住で、本書は同国で昨年に刊行された。日本語版は、出久根さんが初めて翻訳したという。

出久根さんが手がけた作品は、2003年に世界最大規模の絵本原画コンクール「ブラチスラバ世界絵本原画展」グランプリ、今年は第70回産経児童出版文化賞の美術賞を受賞するなど高く評価されている。サビンカは出久根さんが一緒に暮らすネコがモデルといい、愛情を感じるのは、そのせいかも。(ブロンズ新社・1540円)

藤井沙織

産経新聞
2023年8月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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