国際標準の規格よりだいぶ狭い日本の在来線の線路の幅。当初の建設コストこそ安く済むが、将来的な車両の高速化などの面では不利となる。明治初期、この狭い幅の採用が決まった背景には、細かな考慮よりも「文明開化のシンボル」を急いで求めた政治的要請があったと著者は論じる。
誕生時から経済より政治を優先した日本の鉄道は、その後も軍部や政治家の介入を度々受けてきた。戦後の昭和41年には、当時の運輸大臣が自分の選挙区の駅を急行停車駅に指定させ、それを街頭演説で公言してしまう騒動も。政治との絡みから概観した鉄道史。 (交通新聞社新書・990円)
-
2023年8月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです