『レビュー大全 2012-2022』
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『レビュー大全 2012-2022』小谷野敦著
[レビュアー] 産経新聞社
褒めるときは褒める。けなす際は徹底的にけなす。「正直者」を自任し、博覧強記でも知られる作家・比較文学者が、ここ11年間にインターネット通販サイト「アマゾン」のレビュー欄に実名で投稿した、活字メディアでは言いづらい「本音」を集めたのが本書だ。
対象書や映像作品は約3000作で、評価は権威主義や忖度(そんたく)とは無縁。一世を風靡した小説『薔薇(ばら)の名前』を「いまつらつら考えるとバカミスである」と酷評する一方、ライトノベル『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は「これで直木賞をとってもいい」と激賞。2ページに及ぶ本格批評もあり、読み出すと止まらない。(読書人・3960円)