『色彩別 爬虫類・両生類図鑑』川添宣広著(カンゼン)
[レビュアー] 読売新聞
個人的に爬虫(はちゅう)類、とりわけ蛇は、見ると身震いするほど苦手だ。だが、両生類も合わせた約750匹が、青、紫、赤を始めとする体色別などに分けて並べられるとあら不思議。嫌悪感より先に、自然の色の美しさに目を奪われる。
写真は、「世界一多く爬虫・両生類の写真を持つ」と豪語するフリー編集者の著者がこの20年、山中や博物館などで撮りためた中から選抜した。「未解明だけど、野生の色は全部意味がある」と語り、今ではカメレオンの雌が「交尾OK」や「妊娠中」を示す色もわかるという。
本書には、色違いで多数登場する種も。例えば、英名レオパードゲッコーから「レオパ」の愛称でファンに親しまれているヤモリ「ヒョウモントカゲモドキ」。掲載写真のように、尾は黒点入りの白でそれ以外は鮮やかなオレンジ色の品種を含め、赤や黄、白など計29匹が現れる。
年間約5万キロを車で走り、山に分け入る日々だという。この人の本に海外から注文が相次ぐことに納得する。(辻)