ロシアのウクライナ侵略は、自国の安全確保をはじめとした常識的な政治的・軍事的合理性の追求よりも、ウクライナの「ロシア化」というイデオロギーを優先した「世界観戦争」になっているのではないか-。第二次大戦の独ソ戦を典型例とする「世界観戦争」であれば合理性に基づく妥協は困難で、どちらかが戦争継続不能になるまで戦い続けるしかない。
ベストセラー『独ソ戦』の著者である現代史家が、近年に発表した論考を集めた時評集。背骨となるのは実証主義で、旧軍と自衛隊に共通する戦史研究上の問題など、鋭い指摘が多い。(角川新書・1012円)

-
2023年9月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
