『身近な鳥のすごい巣』
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『身近な鳥のすごい巣』鈴木まもる著(イースト新書Q)
[レビュアー] 宮部みゆき(作家)
日々の暮らしのなかで、様々な鳥たちを見かける。スズメにツバメ、ハトにオナガにムクドリ、カラス。私が住んでいるあたりでは、カワウやカモメ、ウミネコもおなじみさんだ。
これらの鳥たちは、どこにどんな巣を作って棲(す)んでいるのか。町なかでは、電柱の上のカラスの巣や、軒下でヒナが賑(にぎ)やかにさえずるツバメの巣ぐらいしか、間近に目にする機会はない。野山へ観察に出かけても、事前の知識がなければ見つけられないだろう。
本書はまず、私たちにその知識を与えてくれる。さらに大きなテーマは、鳥たちの巣を知ることにより、太古の昔、弱小な小型恐竜たちの一部から、「羽ばたく」力を得て進化した鳥という生き物の謎に思いを馳(は)せることだ。絵本作家でもある著者の手になる色彩豊かなイラストを眺めているだけでも、ちょっとした鳥類通の気分になれます。