『賢治と「星」を見る』
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『賢治と「星」を見る』渡部潤一著
[レビュアー] 産経新聞社
『銀河鉄道の夜』をはじめ、今年で没後90年の宮沢賢治の詩歌や童話には、天体に関する記述が頻出する。このことから賢治は相当な専門知識を有していたと考える天文学者が、賢治が夜空を見上げ何を思ったのか想像を巡らせた。
親の転勤で友人のいない中学に入った著者は、旧制盛岡中で寄宿舎生活を始めた賢治と「孤独」という共通項を持っており、賢治も星空が癒やしだったと推測。月の色が変化するさまを描いた詩について、賢治が観察したであろう日時から月齢を割り出し、その的確な表現力を絶賛する。天体を切り口に、37年の生涯に迫ったユニークな一冊。(NHK出版・1815円)