ヒットの仕掛け人は相方・入江? 映画化なら主演菅田将暉で!? 品川祐&矢部太郎『大家さんと僕』トークイベント

イベントレポート

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 カラテカ矢部太郎さんの漫画デビュー作『大家さんと僕』が、20万部突破と大ヒット中。ヒットを記念したトークイベントが12月18日に神楽坂のla kaguで開催された。矢部さんたっての希望で、公私ともに仲良しの先輩芸人・品川庄司の品川祐さんも聞き手として登壇。1階に住む大家のおばあさん(88歳)との「二人暮らし」を描いたほっこり実話漫画の誕生秘話、映像化するなら矢部役は菅田将暉さんで、イベント中に矢部さんがなぜか号泣!?など、満員の会場は大いに盛り上がった。

品川祐&矢部太郎、涙と笑いの『大家さんと僕』トークイベント品川祐&矢部太郎、涙と笑いの『大家さんと僕』トークイベント

■矢部太郎役はまさかの菅田将暉

「ドロップ」「漫才ギャング」と自身が映画監督を務めたことのある品川さんは、「『大家さんと僕』は映画になるよ」とのっけから太鼓判をおした。しかも主役の矢部役に、俳優の菅田将暉さんの名前が挙がると、矢部さんは興奮して思わず手が股間に(矢部さんは緊張したり興奮したりすると股間を触ってしまう癖がある)。しかし「大家さんは安藤サクラさんがいいんじゃない」と品川さんが続けると、冗談に気がついたのか会場からは笑いが。矢部さん自身は、自分が監督をしてみたい気持ちもあるという。

■紙と鉛筆では描けなかった

 素朴で味のある“ヘタウマ”な矢部さんの漫画は、一見そう見えないのだが、デジタルツールで描いているという。「えー、そこは紙と鉛筆で描いていて欲しかったよ~!」と品川さんも会場もなぜかがっかりするが、「はじめ紙で描いていたら消しゴムをかけすぎて紙が破れてしまったから」と矢部さん。映画もフィルムからデジタルになって監督をできる人の層が広がったように、漫画もデジタルツールの進化が漫画家の枠を広げていると矢部さんは考えているそう。一番初めにノートに描いたネーム(ラフ画)や、参考にした漫画『ポテン生活』(木下晋也著)を模写して勉強した「研究ノート」なども初公開された。

■品川の存在が漫画を台無しに!?

 品川さんは本になる前のゲラの段階ですでに読んでいたという。面白かったし涙も出たけれど、まさかこれだけのヒットになるとは思わず、「ほっこりしたものをいま世間が強く求めている」と分析。「今日だっておれは来ない方がいいの」と 、“おしゃべりクソ野郎”でほっこりした世界観とはほど遠い自分が関わったら台無しになっちゃうのに、と謙遜。矢部さんは「そんなことないです」とフォローしながらも、「この漫画が売れるなんて、まだまだ日本も捨てたもんじゃないなと思った」と急に上から目線のコメント。会場に爆笑が起こった。

■“ラブレター”に突然の号泣

 本をお送りした大家さんのお友達から、矢部さんに続々とお礼のお手紙が届いているという。その一部が紹介された。「大家さんのことをよろしくお願いします」と書き添えられていることもあるそうで、いわば“ラブレター”のよう。達筆過ぎて、「僕も想像で読んでいる」と笑いながら話していた矢部さんだったが、手紙を朗読し始めると声を詰まらせ、目には光るものが。そんな姿に「そういう太郎だから、大家さんとの物語を描けたんだよな」と品川さんはあたたかい言葉をかけるものの「これで次は『大家さんのお友達と僕、時々入江』が描けるな!」と鋭い突っ込みも。会場は笑いと涙に包まれた。

会場は終始笑いが絶えなかった会場は終始笑いが絶えなかった

■ヒットの仕掛け人は相方・入江?

 コンビを組んで20年になる相方の入江慎也は、このヒットをビジネスチャンスだと思っているらしい。「オレが漫画を描けって言ったんです」と入江プロデュース説を唱え、付き合いのある大企業の社長たちに配りまくっているという。ありがたいようなそうでないような……と矢部さんは複雑な心境だそう。

 芸人なのに人前で話すことが苦手な上、自分の話を聞きたい人なんていないから……と、トークイベントだけは勘弁してと担当編集者に頼んでいた矢部さんだったが、この日は100人近くのお客さんや多くのメディアを集め大盛況。「ウーパールーパーを見に来るような、物珍しさからですよね」と品川さんは笑っていたが、満員のお客さんからは大きな拍手を浴び、感慨深げな矢部さんだった。

Book Bang編集部
2018年1月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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