『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』
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【ビジネスパーソンの必読書】『我々はなぜ我々だけなのか』川端裕人著、海部陽介監修
[レビュアー] 産経新聞社
■消えた原人は
約700万年前の「人類誕生」の謎は、私たちのロマンをかきたてる。本書は、人類進化学者の海部陽介氏の学説などをもとに、特にアジアに多種多様に存在した原人たちの謎がどこまで解明されているかを解説している。
現生人類の起源はアフリカにある、というのが学問上の定説。それでは、化石も多数出土しているアジアの原人たちはどこに消えたのか。海部氏はあるヒントを提供する。それはアフリカのホモ・サピエンスが「どこにでも行けた」のに対し、アジアの原人は「島などに閉じ込められていた」ということだ。
インドネシアのフローレス島にいた原人が著しく小型化するなど、アジアの原人は多様化していた。一方ホモ・サピエンスは「どこにでも行けた」がゆえに均質化した。
グローバル化によって現代人はますます均質化してきた。本書は、私たちが多様性を失わないための重要な視座を与えてくれているようだ。