第68回日本エッセイスト・クラブ賞が決定 『裁判官も人である』と『万葉学者、墓をしまい母を送る』の2作品が受賞

文学賞・賞

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 第68回日本エッセイスト・クラブ賞が23日に発表。岩瀬達哉さんの『裁判官も人である』(講談社)と上野誠さんの『万葉学者、墓をしまい母を送る』(同)に決まった。

『裁判官も人である』は、死刑宣告、原発再稼働、一票の格差など判断を下す立場にある裁判官の素顔に迫ったノンフィクション。ジャーナリストの岩瀬さんが100人以上の裁判官に取材し、その裏側を明らかにした。

 著者の岩瀬さんは、1955年和歌山県生まれ。2004年に『年金大崩壊』『年金の悲劇』により講談社ノンフィクション賞を受賞。同年「文藝春秋」に掲載した「伏魔殿社会保険庁を解体せよ」によって文藝春秋読者賞を受賞した。著書に『われ万死に値す ドキュメント竹下登』『血族の王 松下幸之助とナショナルの世紀』『新聞が面白くない理由』『パナソニック人事抗争史』などがある。

『万葉学者、墓をしまい母を送る』は、故郷福岡にある一族の墓をしまい、老いた母を呼び寄せ、7年のあいだ介護して見送った万葉学者の上野誠さんが、その体験と研究を行き来しながら、死について深く考えたエッセイ。

 著者の上野さんは、1960年福岡県生まれ。奈良大学文学部教授。國學院大學大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。万葉文化論を標榜し、歴史学・民俗学・考古学など周辺領域の研究を応用した『万葉集』の新しい読み方を提案している。著書に『折口信夫 魂の古代学』『万葉文化論』『日本人にとって聖なるものとは何か』『万葉集から古代を読みとく』など多数。

 贈呈式は、9月7日に東京都千代田区の日本記者クラブで行われ、受賞者には30万円の賞金が贈られる。

 日本エッセイスト・クラブ賞は、1952年に制定されたエッセイについての賞。文藝作品等創作を除く一切の評論、随筆(一定期間内に発表されたもの)等の中より、各関係方面の推薦を受け、日本エッセイスト・クラブに設けられた選考委員によって選考され、最優秀と認められたもの一篇にたいし記念品及び賞金を授与する。

Book Bang編集部
2020年6月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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