恐怖という言葉が懐かしく思える時代になったのは、あらゆるものを可視化することで、人間が恐れることを知らなくなったからではないか。本書を読みながら、そんなことを考えた。
副題は「なぜ人はゾクゾクしたいのか」。妖怪やUFO、心霊写真にノストラダムスの大予言など、どきどきしながら見た映像、出版物の考現学的考察に加え、ゴヤ、ルドン、ムンクら巨匠のぎょっとする絵画作品の美学的な論考など、ギャラリー経営者らしい視点で「恐怖」を説いていく。各章に参考文献が付けられており、読書案内も兼ねている。(アトリエサード・2750円)
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2023年2月5日 掲載
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