『巨象再建』
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日本初の公営カジノ、黒字化なるか?
[レビュアー] 図書新聞
鳴り物入りで誕生した日本初の公営カジノが、場内で自殺者が出るなどの逆風が吹き荒れ、早々に経営不振に陥る。そこで元々設立準備に携わるが、離脱を余儀なくされた銀行マンの遠藤龍介が、再び現場に召集される。出資元の米企業から、黒字化期限は四カ月以内と迫られるなか、公営ならではの抵抗勢力が立ちはだかり、遠藤は窮地に立たされる……。著者は、銀行勤務などを経て、ラスベガスで対米進出コンサルタントを起業したという経歴の持ち主。短期利回りが重視されるグローバル経済の本質が生々しく、且つ分かりやすく描かれている。単にリアルさを追求しているだけでなく、黒幕の謎が随所に散りばめられており、サスペンスフルな経済エンターテインメント小説に仕上がった。(6・11刊、五九八頁・本体八一〇円・小学館文庫)