【聞きたい。】畑主税さん 『ニッポン全国 和菓子の食べある記』

インタビュー

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ニッポン全国 和菓子の食べある記

『ニッポン全国 和菓子の食べある記』

著者
畑 主税 [著]
出版社
誠文堂新光社
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784416516843
発売日
2017/11/07
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】畑主税さん 『ニッポン全国 和菓子の食べある記』

[文] 榊聡美


畑主税さん

 ■「10年で1万品」の総決算

 和菓子ファンには名の知れた、「高島屋」全店の和菓子担当バイヤー。365日、和菓子を口にしない日はなく、「完全に体の中に取り込まれ、細胞になっています」。

 元は辛党。洋菓子売り場に配属され、各ブランドのスイーツを片っ端から食べていく、という荒業で甘い物を克服した。続いて担当した和菓子は、「奥ゆかしさが半端なく、のれんの前に人が出ない」世界。それが一般的に言われるハードルの高さや、わかりにくさにつながっていると感じ、次第に足は売り場から作り手の元へ向くようになった。

 10年間で、全国47都道府県の1千軒もの店を駆け回り、五感をフルに使って1万品以上の和菓子を食べてきた。その「総決算」として本業の傍ら、320軒、約500品に「強引に絞り込んで」、2年がかりで一冊にまとめた。厚さ3センチ超の本書を手に、「初めて“作り手”になった」と感慨深げに語る。

 有名店の看板商品を押さえた手土産本とは一線を画す。有名店でも、「とらや」(東京・赤坂)は代名詞の羊羹(ようかん)ではなく、6月16日の和菓子の日に合わせて限定販売される「嘉祥(かじょう)菓子」を紹介している。「“好き”という基準でしか選んでいない。それに尽きます」

 全国を飛び回る、といっても飛行機が苦手で、移動はほとんどが電車。駅から店までの景色、郷土の歴史や文化、主人のこだわりなど、小さなお菓子に秘められた「奥行き」が、味わいを一層深いものにする。ページの数だけ、「こんなところに、こんなお菓子が」という発見がある。

 「辺鄙(へんぴ)な場所でもそこにそのお菓子が存在する意義がある。おいしいだけじゃない和菓子の魅力は、作られた所へ行ってみないとわからない」と力を込める。「百貨店に勤める者が言うのも何ですけれどね」(誠文堂新光社・1800円+税)

 榊聡美

   ◇

【プロフィル】畑主税

 はた・ちから 昭和55年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、高島屋入社。平成21年から全店和菓子担当バイヤーに。プライベートのブログ「和菓子魂!」でも和菓子の魅力発信中。

産経新聞
2018年1月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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