自分の未来に全責任を持つ。人生を推進する「目標設定」と「宣言」の仕方

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自分の未来に全責任を持つ。人生を推進する「目標設定」と「宣言」の仕方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

脳は目標を達成しようとする性質を持っているもの。

どんなアイデア、イメージ、結果であっても、人はそれを現実にすることになる。しかもそれは不吉な兆しではなく、人生の全分野を改善するのに役立つ。

そう主張するのは、『1週間に1つずつ 人生が変わる自分変革宣言』(ジャック・キャンフィールド 著、弓場 隆 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者です。

さらに、自分の思考を集中させ、目標を達成するプロセスを加速させるためのツールも紹介しよう。それは「宣言(アファメーション)」と呼ばれ、目標をすでに達成したかのように表現する手法をさす。

宣言とは具体的にどのようなものか?

「私は自分が建てた豪邸のベランダから美しい夕陽を見て楽しんでいる」 「私はベストセラーを出版して10万ドルの印税を稼いで満足している」 これらは豊かなイメージで脳に刺激を与える言葉である。 (「はじめに」より)

つまり重要なのは、本書で紹介されている「原則」、そして、それを定着させる「宣言」を日常生活に応用し継続すること。

そうすることにより、人生が好転すると著者は主張しているのです。

ちなみに紹介されているどの法則も、著者が経験から学んだものであり、現在100か国以上で教えているカリキュラムの一部になっているのだとか。

著者が長年にわたって学習し、成長し、設定した目標を達成してきたからこそ、読者にもそうしてほしいのだそうです。

本書の各項目の末には、人生の推進力になる3つのポジティブな宣言が書かれている。その宣言の中から自分にとって必要だと思うものをひとつ選んで、それを日々使ってみることをお勧めする。毎朝10分間、それがすでに実現しているかのように声に出して読んでイメージトレーニングをしよう。

自分が目標を達成している姿を心の目で見るのだ。自分が感じることになる気持ちを呼び起そう。 (「はじめに」より)

1週間に1項目をクリアしていき、52週目にすべてが完結する構成。

PART 1「人生で実現したいことを決めよう」のなかから、2項目をピックアップしてみることにしましょう。

自分の未来に100パーセント責任を持つ

人は自分の思考、イメージ、行動を完全にコントロールできるもの。この3つのことをどう行うかで、「人生においてどのような体験をするか」が決まるといっても過言ではない。著者はそのように記しています。

充実した豊かな人生を送るための出発点は、自分の未来に対する責任を100パーセント自分でとることなのだとも。

ポジティブなエネルギーは一日の好スタートにつながる。毎朝ほんの数分でいいから、明確な目的意識を持って宣言を唱えてみよう。 夜にも同じことをやり、睡眠中も潜在意識にポジティブなエネルギーを高めよう。

そうやって自分の考えや夢の中にポジティブな力を加えることは、起きているときにチャンスへと自動的に体を向かわせられるように、考え方を帰る訓練でもある。(19~20ページより)

自分の人生に対して全責任を持つーーつまり、これまでに経験したすべての成功や失敗、すべての優柔不断な考えや行動に対して責任を持つのであれば、宣言を繰り返し唱えることは、自分の意識を向上する手助けになるという考え方です。

状況にかかわらず、起きた出来事や結果のせいにするのは無意味。なぜならそれ自体が自分の責任であり、それが人生の流れを変えるカギだから。

自分がどう対応するか、どう考えるか、どう振る舞うかは自分自身が決めるべきことだというわけです。

人生で妥協する必要はありません。向き合っている状況に合わせ、自分の望む結果が出るまで対応を変え続ければいいだけのこと。

仮に現在の結果が気に入らないのであれば、別のことをやればいいのです。

ところで著者は、つねに警戒すべき物事を「黄色信号」と呼んでいるのだそうです。

「なにかがおかしい」「なにかが起ころうとしている」というような信号は、必ずあるものです。そのため内面的、外面的な黄信号に目を見張らせていなければ、味わう必要のない苦しみにさいなまれることにつながるということ。

外面的な黄信号とは、たとえば自分の働く業界が衰退しているというニュースなど、外側から入ってくる、あまりよくない知らせ。対する内面的黄信号とは、本能的なメッセージ、ストレス、緊張、痛みのような感覚のこと。

それら内面的、外面的黄信号に注意を向けていれば、それを察知した段階で自分の行動や対応を変えることができるということです。

だから、それらを見極める勇気を出してほしいと著者は言うのです。自分の運命をコントロールできれば、人生は一気に楽になるはず。

「自体が勝手に降りかかってきた」というものの見方をするのではなく、自分の送りたい人生を自分で選ぶことが大切だというわけです。(18ページより)

この項の自分変革宣言

(1) 私は人生をすぐに改善する。

(2) 私は自分にとってよりよい状況をつくり出す。

(3) 私は考えとイメージ、振る舞いを変えることを選ぶ。

(21ページより)

人生の目的を明確にする

人はみな、人生において独自の役割を果たしているもの。つまり、自分しか持っていない技術と知恵を生かし、他の人にはできないことをするために生まれてきたということです。

そして、それを見極めて大切にすることこそが、充実感にあふれた素晴らしい人生を築くためのカギになるのだと著者は主張しています。

そこで求められるのは、自分の存在理由を明確にし、情熱を持って人生の目的を追求すること。そうしない限り、どんな目標を設定しても、それを達成することはまず不可能だといいます。

なぜなら自分の存在理由が明確でないと、いずれ人生で道に迷ったり行き詰まったりすることになるから。

自分の方向性がわからなければ、挫折感と無力感にさいなまれ、将来に希望を持つことができなくなってしまうということ。

そこで著者はたびたびセミナーを開催し、人生の目的を見極め、自分の存在意義を明確にするためのエクササイズを紹介しているのだそうです。

1 自分ならではの資質をふたつ挙げる。

2 その資質を活用する方法をひとつかふたつ挙げる。

3 自分ならではの資質を活用したら、世の中はどのようになるか?

4 以上の問いかけに対する答えを組み合わせてひとつの文にし、それがどのように社会に貢献するかを表現しよう。

 例 持続可能な事業を立ち上げようとしているイノベーションに富む起業家を支援するために自分の能力を使う。

(23~24ページより)

この簡単なエクササイズが、自分自身の存在理由を明確にし、大きな満足をもたらす活動を見極めるのに役立つというわけです。

さらに著者は、それをもう少し推し進めることをも勧めています。自分ならではの資質を活用して、もっとも楽しかった経験を書き出してみようということ。

次いで、人生の目的を書いた紙をよく目にする場所に貼っておき、起床後と就寝前にそれを声に出して読んでみることも大切だといいます。

そうすることで、元気がわいてくるはずだから。

自分の人生の目的に合致した生き方をしていると、おのずと人々の役に立ち、彼らはこちらのポジティブなエネルギーを感じ取るもの。

そこで、なんとしてでも人生の目的を見つける決意をしようと著者は訴えています。人生の目的が明確でなければ、豊かさも成功も手に入れることはできないのだから。(22ページより)

この項の自分変革宣言

(1) 私は人生の目的に合致する生き方をして喜びにあふれ、充実感を得ている。

(2) 私は誰もが人生の目的を存分に追求している完璧な世界をイメージしている。

(3) 私は情熱を燃やして人生の目的を追い求め、毎日、目標に向かって前進している。

(21ページより)

決して難しいことが書かれているわけではなく、それどころか内容はとてもシンプル。

そのため、52週間後の最終項目へ行き着くまでのプロセスは、決してつらいものにはならないはず。

著者の考えに従って、自分を変革してみてはいかがでしょうか。

Photo: 印南敦史

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2019年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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