【聞きたい。】箱崎みどりさん 『愛と欲望の三国志』

インタビュー

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愛と欲望の三国志

『愛と欲望の三国志』

著者
箱崎 みどり [著]
出版社
講談社
ジャンル
歴史・地理/日本歴史
ISBN
9784065171912
発売日
2019/08/21
価格
946円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】箱崎みどりさん 『愛と欲望の三国志』

[文] 伊藤洋一(エコノミスト)


箱崎みどりさん

■女子アナが誘う「三国志」

 今夏、東京で開催された「三国志」展に2回、足を運んだ。「曹操の墓も再現された会場に住みたいと思った。土産物売り場の菓子とお茶を買えば生活できるし…」。同展が巡回する福岡にも飛んでいきそうなほど三国志マニアのアナウンサーが、同書が日本でどう読まれてきたか考察した。

 小学2年の時、NHKの再放送『人形劇三国志』を見たのがハマるきっかけ。図書館で青い鳥文庫などから読み始め、吉川英治版や柴田錬三郎版、そして本場の『三国志演義』へ。

 「子供用を読み終えたあと大人向けがあるのが、他作にはない特徴。ストーリーや人物解釈が、作者によって違うのも面白かった」

 自分だけではもったいないと、高校時代には1年を費やし、自由研究に。全校生徒を前にした発表会では紙人形劇も披露した。アナになっても、ラジオ番組で「三国志にたとえると…」などと語り、ついに執筆依頼が舞い込んだ。

 執筆当時、2歳だった長女を母親に預けて図書館で調べものをし、寝かしつけた後、深夜に起きて書くことも。6月末に長男を出産したあと、1年半かけた本書も世に送り出した。マニアはもちろん、初心者も親しめるよう、江戸期には浄瑠璃、歌舞伎、春画にアレンジされ、庶民に人気だったことなども紹介し、三国志の世界に誘う。

 大学院時代に書いたリポートは、指導教官に「調べて、事象を並べただけ」と厳しく指摘されたが、本書では日中戦争当時、敵国を題材にした三国志がブームになった背景まで、独自理論で示した。巻末に列挙した膨大な参考文献が礎だ。

 同じ中国の西遊記に比べ、キャラクターに広がりを持たせやすいことが人気の秘密と分析。20年来の趣味の集大成に達成感いっぱいと思いきや、「調べたいことが新たに出てきた」。

 ちなみに、好きな登場人物は蜀の軍人・王平とか。どなた? 「“泣いて馬謖(ばしょく)を斬る”で知られる馬謖の副官です。しぶいでしょ」(講談社現代新書・860円+税)

 伊藤洋一

   ◇

【プロフィル】箱崎みどり

 はこざき・みどり 昭和61年、東京都出身。東京大学大学院総合文化研究科修了後、アナウンサーとしてニッポン放送入社。

産経新聞
2019年9月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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