元スポーツ紙記者の女優が明かす 脅し、親バレ、業界の“今”

レビュー

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AVについて女子が知っておくべきすべてのこと

『AVについて女子が知っておくべきすべてのこと』

著者
澁谷果歩 [著]
出版社
サイゾー
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784866251318
発売日
2020/09/19
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

元スポーツ紙記者の女優が明かす 脅し、親バレ、業界の“今”

[レビュアー] 吉田豪(書評家)

 AVの暴露本でもなければ、イメージアップのための嘘だらけの本でもない、驚くほど客観的で、なおかつ“デリケートゾーン”にも相当踏み込んでいる画期的な一冊。著者自身、某スポーツ新聞の記者だったのに、好奇心でアダルトグッズのモニターに応募したら、「当日のうちにスタジオで宣材写真を撮られ、有名AVメーカーへ次々と面接に連れ回され」「この瞬間『もう断れないのか……』と以前の私へもどる道が閉じられたような、背中に冷たい風が吹いた感触を覚えました。AV出演強要問題が取り沙汰されるようになった現在では、作品を撮り終わった段階でも、『やっぱり辞めます』と言うことができます、とメーカーとの契約書にも記されています。けれど当時はまだそんな風潮じゃなかったため、笑顔で脅しをかけられた気分だった。怖かったです」という経緯で業界入りし、そこから楽しさを見出した人だから、業界のいい部分も悪い部分もちゃんと書けるのだ。

 さらには「親に情報が漏れたきっかけは、新卒で勤めたスポーツ新聞社でした。男性だらけかつ、噂大好きマスゴミにとって、元社員のAVデビューは格好の餌。そして先輩だったプロレス担当記者が元プロレスラーの前田日明さんに、私がアダルトビデオに出たことを教えてしまいました。そして、昔からの知りあいだった父に、心配して電話をかけてきたそうです。『AV業界はヤクザが仕切ってる。危険だから絶対に辞めさせた方がいい』とおっしゃっていたとか」という特殊なバックグラウンドの持ち主なので、元野球記者ならではのネタやプロレスネタも多数。潮吹きのリスクを武藤敬司のムーンサルトプレスに重ねて語るのもどうかしてる! なお、個人的に最も衝撃だったのは、「ここ数年、未成年の出演はNGとなり20歳から女優を採用(サバ読みで『18歳デビュー』などと書いてあっても成人済み)」とサラッと書かれていたこと。騙された!

新潮社 週刊新潮
2020年10月8日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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