【児童書】『ここにいる』あおきひろえ作 日々の大切さを実感

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ここにいる

『ここにいる』

著者
あおきひろえ [著]
出版社
廣済堂あかつき
ISBN
9784867020463
発売日
2020/07/15
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

【児童書】『ここにいる』あおきひろえ作 日々の大切さを実感

[レビュアー] 中島高幸

 日曜日には畑仕事や庭の手入れにいそしむ働き者のおとうさん。わたしたちをときどきひざに座らせて、万年筆で絵を描いてくれた。プールで遊んでいるとき、叱られて庭に隠れているとき…。いつもおとうさんがいた。

 わたしは結婚し、おとうさんはおじいちゃんに。穏やかな日々も、やがて最期の時を迎える。旅立ちの日、庭の花が一斉に咲いた。

 作者のあおきさんの自伝的作品。色鮮やかで温かな画風で、父と子の日々を丁寧に描き出した。最期の日は、寂しさや悲しい気持ちだけで送るのではなく、人生をしっかり生きたおとうさんを祝福する「おめでとう」の言葉に人生へのいとおしさがしみじみと伝わる。何げない日々の大切さ、豊かさが実感できる作品だ。

 あおきさんは落語好きが高じ、自宅を寄席小屋にした「ツギハギ荘」の席亭も務めるなど、ユニークな活動を展開していることでも知られる。夫は絵本作家の長谷川義史さんで、夫婦で活躍中だ。(廣済堂あかつき・1500円+税)

産経新聞
2020年10月4日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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