『Do the Work 行動を起こしたい人のための人生を変えるワークブック』
- 著者
- ゲイリー・ジョン・ビショップ [著]
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- ISBN
- 9784799326824
- 発売日
- 2020/10/23
- 価格
- 1,650円(税込)
受け入れ、許す。人間関係を見直すために必要な2つのポイント
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『Do the Work 行動を起こしたい人のための 人生を変えるワークブック』(ゲイリー・ジョン・ビショップ 著、高崎拓哉 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、著者によれば「行動を起こすことに重きを置いたワークブック」。
そして、本書はあなたの考え方を変えるための個人的なワークショップであり、あなたが自分の人生を送るのに必要な、あなただけに意味を持つ本物のリソースだ。
シンプルな質問に答えていくだけで、思考をコントロールでき、行動を起こす 力が手に入り、人生をプラスに変えることができる。
だから、本気で取り組めば、進むべき道は見る間にはっきりするはずだ。(「はじめに」より)
そんな本書では、次の3つのテーマに分けて話が進められていきます。
① 自分
② 人間関係
③ 目的
(16ページより)
どれも、人生における大切な要素。事実、人はこれらについて悩んだり苦しんだり、ときには行き詰まったりするものです。
また、自分を甘やかして解決を先送りにしがちな部分でもあると著者は指摘しています。
きょうはこのなかから、③の「人間関係」に焦点を当ててみたいと思います。
ありのままを受け入れる
人間関係を正すにあたって大切な要素は、まず、相手のことを受け入れること。
要は、ありのままの相手や状況を許そうということだ。
あなたが「こうあるべき」だと考えている相手の発言や行動、性格と、実際のそれらとのずれへの苛立ちが募ると、関係はもつれやすい。
それこそ、自分が受け入れられていない相手の一部だ。
そう、あなたは相手が「その人自身」でいることをよしとしない人間になってしまっている。(79〜80ページより)
人として相手を受け入れるためには、その人本来のあり方を認めなければならないということ。
「この人は〜だから」というような決めつけや不満などの感情に振り回されていると、心はどんどん弱っていってしまうわけです。
人として受け入れるとは、相手のありのままの姿を認めるということ。
「受容」は人間として必要最低限の資質であり、自分自身がそれを身につけられなかったとしたら、うまくいくはずの人間関係もうまくいかなくなって当然なのです。
だから、いまそれができていないのだとしたら、気合いを入れて、相手を受け入れる努力をしていこうと著者は提案しています。(79ページより)
ワーク:考え、書き出してみるべきこと
・苦手な人物の受け入れたくない部分はどこだろうか。
・その「受け入れない」姿勢はあなたと周囲にどんな影響を与えているだろうか。
・その人物をまるごと受け入れるために、あなたが手放すべき「真実」、つまり見方はなんだろうか。
・ありのままのその人を受け入れたことを示すために、あなたが継続的に取るべき行動はなんだろうか。
・ありのままに受け入れたことを示すために、その人物に言えることはなんだろうか。
・その人物を受け入れられるようになるために、ほかにあきらめなくてはならないものはあるだろうか。
(83〜88ページより)
相手を許す
人を許せるかどうかは、心の平穏に直接つながっていく要素。
なにかを許せない気持ちを心のなかにため込んでいると、たとえそれがどれほど小さな怒りだったとしても、いつの間にか喜びや満足などの感情が味わえなくなっていくものです。
それを避けるためには、許すしかないということ。別な表現を用いるなら、「許せない」という“つまらない思い込み”を捨てるしかないわけです。
許すのは、誰にでもできる簡単なこと。にもかかわらずそれができないのは、「許したくない」という自分の気持ちが阻んでいるから。
許す余地は無限にあるはずなのに、許す意思にハードルがあるから許せないということなのでしょう。
今ここで、許すことをしっかり覚えてしまおう。
許すとは、イヤなことをされても黙っていろという意味じゃない。
利用されたり、だまされたりしたままでいいわけじゃない。
それに、許したからといって、あなたがその人物より上になるわけじゃない。それも勝手な思い込みだ。(89ページより)
相手と自分の過去を比較するのではなく、許すためには、相手の人間性やこれまでの行動そのものを見つめ、人生の道のりや人となり、状況を理解することが必要。
そして許すとは、これまで許せなかった人の人間らしい部分を見つけ出し、先入観を持たずに接すること。
ひねくれず、恨みや怒りをため込まず、自分らしさを失わず、それでいて「ありのままの相手」を認めることは、充分できることだと著者は主張しています。
ワーク:考え、書き出してみるべきこと
・自分が許したくないものはなんだろうか。
・その許したくない気持ちは、あなた自身やあなたの人生にどう影響しているだろうか。
(91〜92ページより)
さて、著者はここで読者に対し、対照的な2つの選択肢を提示しています。
これまでの見方や意見にしがみつく道と、もっと大きなものに手を伸ばす道。
このとき、その2つがどんな人生につながっているかをしっかり把握することが大切だ。
1つは恨みと怒り、不満にまみれた被害者になる人生が、もう1つは自由のあるすばらしい人生が待っている。
さあ、好きなほうを選んでほしい。 (93ページより)
心の底から誰かを受け入れ、許したあとは、これまでの関係を精算するためにも、新たな視点でその人と自分とを結びつける必要があるということです。(89ページより)
ワーク:考え、書き出してみるべきこと
相手を受け入れ、許すことができたら、これからはどんなふうに考え方を変えていきたいだろうか。
(94ページより)
*
このように、著者のアプローチはとてもシンプル。
しかも「ワーク」の内容について考えることを勧めているため、読者は無理なく本質的な部分へと自分自身を導くことができるわけです。
進むべき道、よりよい生き方を見つけ出すために、活用してみてはいかがでしょうか?
Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン
Photo: 印南敦史