【気になる!】新書『疫病短編小説集』
[レビュアー] 産経新聞社
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)になって以来、世界中でカミュの「ペスト」など“疫病文学”が注目されるように。本書は、天然痘、ペスト、コレラなどの疫病をテーマにした英米のえりすぐりの短編を集めたもの。
なかでも、生活のすべてがテレビ画面ごしに行われるようになった世界を描いたSF作品「集中ケアユニット」は、今のコロナ禍の世界を想起させる。
目に見えない疫病と容易に結びつく差別や偏見、暴力を考える指針にも。コロナ後の世界をどう生きるかのヒントを与えてくれる。(R・キプリング他著、石塚久郎監訳、平凡社ライブラリー・1650円)