『ある北朝鮮テロリストの生と死 証言・ラングーン事件』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『ある北朝鮮テロリストの生と死 証言・ラングーン事件』羅鍾一著、永野慎一郎訳
[レビュアー] 産経新聞社
1983年10月、ビルマ(現ミャンマー)の首都ラングーン(現ヤンゴン)を訪問していた韓国の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領(当時)を狙った爆弾テロが発生し、全氏は難を逃れたが韓国の閣僚ら21人が命を落とした。犯人である北朝鮮の特殊戦闘部隊員、カン・ミンチョルに焦点を当て、事件の全貌に迫る。
犯行後、ビルマ当局に拘束されたカンは同国の刑務所に収監される。最期まで望郷の念を抱いていたカンだが、彼をテロの道具として利用した母国からは見捨てられて生涯を終える。今も変わらない北朝鮮という非道国家に翻弄された男の人生は悲哀に満ちている。(集英社新書・968円)