『グレート・ギャツビー』
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謎めいた男は最後にプールで死を遂げる
[レビュアー] 梯久美子(ノンフィクション作家)
書評子4人がテーマに沿った名著を紹介
今回のテーマは「水着」です
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スコット・フィツジェラルドの『グレート・ギャツビー』は日本でもっとも有名なアメリカの小説のひとつだろう。だが、『華麗なるギャツビー』のタイトルで公開された映画版は観たが原作小説は読んでいないという人のほうが多いのではないか。何を隠そう、私も小説を読んだのは、映画を観てから20年以上たった後のことだった。
私が少女時代に観たのは、ギャツビー役をロバート・レッドフォードが演じた1974年版。レオナルド・ディカプリオ主演の2013年版もDVDで観た。ともに原作に忠実に映画化されている。
舞台は1922年のニューヨーク郊外ロングアイランド。謎めいた男ギャツビーが週末ごとに豪邸で盛大なパーティーを催す。彼の目的は、ひとりの女性の心を取り戻すことだった。
ギャツビーは最終的に悲劇的な死を遂げる。場所は邸宅のプール。彼は水着姿で死ぬのである。
74年版の映画でレッドフォードが着ていた水着は、上半身が横縞のタンクトップ、下半身がショートパンツのワンピースタイプで、タンクスーツというらしい。
この映画では、レッドフォードが着たラルフ・ローレンのピンクのスーツが有名になった。原作にもピンクと明示してあり、主人公のイメージをあらわす重要な服だ。だが、それよりも強く印象に残ったのが、男性版スクール水着といった風情のこの水着である。ちなみにディカプリオも同じタイプの水着を着ていた。