『俺の仕覆』
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『俺の仕覆 山田英幸仕覆作品集』山田英幸著
[レビュアー] 産経新聞社
仕覆(しふく)とは茶入(ちゃいれ)を包む袋。器の保護が本来の目的だが、名物裂(めいぶつぎれ)などで仕立てた仕覆は茶入や茶杓(ちゃしゃく)とともに客の拝見に供されてきた。
茶道をたしなまなければ遠い存在かもしれない。だが、著者の作品を見れば少し身近に感じられるだろう。茶道具に限らず、古伊万里の皿やバカラのグラスなど自分の大切な器を美しく仕舞うために裂(きれ)を選び、体裁を整えるのだ。
仕覆作家として活躍中の著者は40歳を過ぎて独学で制作を始めた。インド更紗やフランスのトワル・ド・ジュイ(西洋更紗)、エルメスのスカーフ…と使う布は自由。あっと驚く粋な布合わせが楽しい。(幻戯書房・4180円)