絵本作品が世界各国で翻訳刊行されている著者のスケッチ集。著者は日々、思いついたことをメモするアイデアスケッチを行っており、それが「絵本の種」となる。本書は、若い頃のスケッチを収録したデビュー作の文庫化。もとになった単行本は、産経児童出版文化賞美術賞を受賞した初絵本作品『りんごかもしれない』(平成25年刊)より10年前に刊行されており、いわば著者の原点だ。
街中で見かけたとみられる個性的な髪形の人物の絵に「バッハがいた。」と添えるなど、日常のひとコマをユーモラスに切り取る著者の観察眼が光る一冊。(ちくま文庫・880円)
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2023年4月9日 掲載
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