【児童書】『ロッタの夢』ノーマ・ジョンストン作、谷口由美子訳、平澤朋子絵

■『若草物語』と移民

貧しい移民一家の長女、ロッタの成長物語。

時は１８４８年、１２歳のロッタはドイツから米東部の町、ボストンへやってきたばかり。父の仕事がうまくいかず、家族７人が一部屋で暮らす。

まともに英語が話せず、お金もないロッタは公立学校へ通えない。米国では誰でも学校で学べる、自由の機会が与えられると聞かされていたが、機会があるのは米国で生まれた人たちだけ。失意のどん底にあったロッタは、貧民救済活動を行うオルコット一家と出会う。

女性が生計を立てるには制約が多かった時代。ロッタは生きるすべを見つけられるか。物語が進むにつれ、ロッタたちが故郷を離れた理由が明らかになる。

作者のジョンストンが名作『若草物語』で知られる米小説家ルイザ・メイ・オルコット（３２～８８年）の伝記を書いている時、本書のアイデアが生まれたという。ルイザと父母らは４８年頃、実際にボストンで暮らしており、日記など関連文書を参考にロッタが創作された。『若草物語』の世界がリアリティーをもって浮かび上がる。（岩波少年文庫・９６８円）

寺田理恵

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• ロッタの夢: オルコット一家に出会った少女
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