『東京の美しいドボク鑑賞術』
- 著者
- 北河, 大次郎 /小野田, 滋, 1957- /紅林, 章央 /高柳, 誠也
- 出版社
- エクスナレッジ
- ISBN
- 9784767831398
- 価格
- 1,848円(税込)
書籍情報:openBD
『東京の美しいドボク鑑賞術』北河大次郎/小野田滋/紅林章央/高柳誠也著(エクスナレッジ)
[レビュアー] 金子拓(歴史学者・東京大教授)
「東京の美しいドボク」と聞いて連想したのは、隅田川に架かる清洲橋など、いわゆる震災復興橋梁(きょうりょう)である。本書にはそれ以外のインフラ施設、たとえば発電施設や港、鉄道の駅や車両基地、道路や公園など様々な施設の“美しさ”も紹介されている。
水に関わる施設も、ダム・貯水池や水門・取水堰(しゅすいぜき)など数多いのだが、隅田川の橋の夜景写真などを見ると、やはり橋梁の美しさに圧倒される。これら橋梁は、建てられる場所の環境をふまえ、材料・予算など種々の条件に規制を受けながら、構造上の強度を維持しつつ技術者たちが工夫を凝らして設計した。実験的な場でもあった。
奥多摩湖の橋梁群は、関東大震災の復興事業の約30年後、それに携わった技術者たちが再び結集したプロジェクトだという。初耳だった。「橋の展覧会」と言われる隅田川の橋同様すべて違う構造の橋が架かっている。写真も素晴らしく、橋を渡りに出かけたくなった。