『東京の美しいドボク鑑賞術』北河大次郎/小野田滋/紅林章央/高柳誠也著(エクスナレッジ)

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東京の美しいドボク鑑賞術

『東京の美しいドボク鑑賞術』

著者
北河 大次郎 [著]/小野田 滋 [著]/紅林 章央 [著]/高柳 誠也 [著]
出版社
エクスナレッジ
ジャンル
歴史・地理/旅行
ISBN
9784767831398
発売日
2023/05/01
価格
1,848円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『東京の美しいドボク鑑賞術』北河大次郎/小野田滋/紅林章央/高柳誠也著(エクスナレッジ)

[レビュアー] 金子拓(歴史学者・東京大教授)

 「東京の美しいドボク」と聞いて連想したのは、隅田川に架かる清洲橋など、いわゆる震災復興橋梁(きょうりょう)である。本書にはそれ以外のインフラ施設、たとえば発電施設や港、鉄道の駅や車両基地、道路や公園など様々な施設の“美しさ”も紹介されている。

 水に関わる施設も、ダム・貯水池や水門・取水堰(しゅすいぜき)など数多いのだが、隅田川の橋の夜景写真などを見ると、やはり橋梁の美しさに圧倒される。これら橋梁は、建てられる場所の環境をふまえ、材料・予算など種々の条件に規制を受けながら、構造上の強度を維持しつつ技術者たちが工夫を凝らして設計した。実験的な場でもあった。

 奥多摩湖の橋梁群は、関東大震災の復興事業の約30年後、それに携わった技術者たちが再び結集したプロジェクトだという。初耳だった。「橋の展覧会」と言われる隅田川の橋同様すべて違う構造の橋が架かっている。写真も素晴らしく、橋を渡りに出かけたくなった。

読売新聞
2023年9月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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