新書はこれを読め!

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  • 高学歴難民
  • 世帯年収1000万円
  • 運は遺伝する
  • 認知症にならない100まで生きる食事術
  • 日本の建築

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新書はこれを読め!

[レビュアー] 新潮社

 学歴さえあれば勝ち組、という考えは今なお根強いが、阿部恭子『高学歴難民』(講談社現代新書)は、博士号や海外留学など高い学歴を持ちながらワーキングプアに追いやられ、犯罪にまで手を染めてしまう人々のリアルを描き出す。

 加藤梨里『世帯年収1000万円』(新潮新書)は、物価や教育費の高騰に喘ぎながら、何かにつけて「所得制限」にかかる中間層の苦境を活写。ファイナンシャルプランナーが、老後への生活設計を伝授する。

 橘玲・安藤寿康『運は遺伝する』(NHK出版新書)は、社会分析を得意とするベストセラー作家と、行動遺伝学の第一人者による異色の対話。立場もスタンスも異なる二人だが、豊富な科学的知見が「残酷な真実」の説得力を増す。

 牧田善二『認知症にならない100まで生きる食事術』(文春新書)は、糖尿病の専門家による予防指南の書。認知症は脳の糖尿病であり、20年かけて現れる、だから食事はこうするべし︱明快にして実践的な一冊だ。

 隈研吾『日本の建築』(岩波新書)。明治維新から約150年、西欧建築に強く影響された日本建築は、どのように変化し、またどのように歴史を表現してきたか。執筆に8年を要したという「ナマモノとしての日本建築論」が刺激的だ。

新潮社 週刊新潮
2023年1月7・14日新年特大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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